福島第1原発事故の影響で「計画的避難区域」に指定され、全村避難を迫られている福島県飯舘村の農業、赤石沢忠則さん(50)のビニールハウスでコマツナの黄色い花が咲き乱れている。町内で高い放射線量が計測され、3月中の収穫をあきらめざるを得なかったコマツナは背丈が約1.5メートルまでに伸びて次々に花を咲かせたという。赤石沢さんは「満開のきれいな花を見ると悲しくなってくる」と話す。
例年なら、ハウスでコマツナの収穫を終え、主力のトルコキキョウの苗付けをしている時期だ。だが、もう土に触れることもできない。収入が途絶えた赤石沢さんは妻久代さん(50)と栃木県のアパートに引っ越し、知人の農家の仕事を手伝うことにしている。
赤石沢さんは「多くは望まないが、飯舘の土で農業をやって暮らしたいだけ。国は責任を持って元の状態に戻してほしい」と切ない表情をみせた。【大場弘行】
毎日新聞 2011年4月26日 10時25分(最終更新 4月26日 16時32分)