来年の選挙控え、ポピュリズム法案の提出相次ぐ(上)

法案が全て通過すれば、5年で約60兆円必要

 「農村や漁村を走るバスに車掌を配置すれば、国は必要な資金を支援あるいは融資できる」

 これは与党ハンナラ党のファン・ヨンチョル議員ら14人の国会議員が、昨年9月に国会国土海洋委員会に共同で提出した「旅客自動車運輸事業法改正案」に盛り込まれた内容だ。この法案は、1990年に身体の不自由な高齢者が多い農村や漁村などのバスで、車掌の乗車が廃止されたのを再び復活させるというものだ。忠清南道泰安を走るバスには今も車掌が同乗しているが、法案にはこれに基づいた試算も掲載されている。対象となる地域には、現在1906台のバスが運行しているが、車掌1人当たりの給与として1年に2000万ウォン(約151万円)が必要になるとすると、1年目は381億ウォン(約28億7900万円)を国の予算から支出することになる。また、賃金の値上げなどを考慮すると、5年間で2151億ウォン(約162億5700万円)の予算が必要となる。これについて企画財政部(省に相当)は「現在、地方のバスに対しては年間1600億ウォン(約121億円)の支援が行われている。これに400億ウォン(約30億円)近い額を上乗せするなど不可能だ」と主張している。

 民主党のイ・チャンヨル議員ら19人の議員は今年1月、教育科学技術委員会に「学校図書館振興法改正案」を提出した。この法案には、小中高校の図書館に司書教諭を1人以上置くことを義務化するという内容が含まれている。

 国会予算政策処によると、この改正案が施行された場合、現在5150人いる司書教諭あるいは職員を、2016年までに9097人に増やさなければならなくなる。これを5年に分けたとしても、1年に790人の司書教諭を新たに採用しなければならず、また5150人のうち、現在非常勤の4391人も正規職に転換しなければならなくなる。その場合、初年度だけで723億ウォン(約54億6600万円)の予算が必要となり、5年間では総額1兆2669億ウォン(約957億円)が必要という計算になる。企画財政部は「学校ごとに司書教諭が必要かどうかも疑問で、公務員の定員を増やす結果にもなる」として反対を表明している。

 国会予選政策処は25日「財政支出を伴う議員立法は、現在の18代国会に入ってからこれまで2782件に上る。これは前回17代の1404件に比べて98.1%も急増した」と明らかにした。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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