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スーちゃん、最後の声を命がけで遺した…酸素マスク外し3分20秒

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田中さんのひつぎが納められた霊きゅう車は「スーちゃんカラー」の青いテープとファンの声援に見守られ斎場をあとにした

 人気アイドルグループ「キャンディーズ」の元メンバーで、21日に乳がんのため亡くなった女優・田中好子(本名・小達=おだて=好子)さん(享年55歳)の告別式が25日、東京・青山葬儀所で営まれた。式では先月29日、田中さん自身が病室で録音した約3分20秒の肉声テープが公開され、「キャンディーズでデビューして以来、本当に長い間お世話になりました。幸せな幸せな人生でした」などと語り、約2200人の参列者の涙を誘った。最後はファンが投げる青い紙テープが舞う中、天国に旅立った。

 命の炎が消えかかったスーちゃんの、最後の力を振り絞るような声が響いてくると、告別式の会場は静まりかえった。「幸せな、幸せな人生でした。心の底から感謝しています。特にランさん、ミキさん、ありがとう。2人が大好きでした…」。全身全霊を懸けた約3分20秒のラストメッセージ。参列者の多くがこらえきれずに涙をこぼした。

田中さんの遺影の前で弔辞を読み終え、あいさつする伊藤蘭(代表撮影)

 このテープは入院先の病院で先月29日、録音された。スーちゃんと夫・小達一雄さん(56)の2人でメッセージを残そうと決めた。比較的容体は安定していたが、話すのが精いっぱい。死を覚悟しながらも、真っ先に口にしたのは東日本大震災での犠牲者への思いだった。

 「私も一生懸命、病気と闘ってきましたが、もしかすると負けてしまうかもしれません。でも、その時は必ず、天国で被災された方のお役に立ちたいと思います。それが私の務めと思っています」

 酸素マスクを外しながらの録音。「映画にもっと出たかった。テレビでもっと演じたかった。もっともっと女優を続けたかった。お礼の言葉をいつまでも、いつまでも皆様に伝えたいのですが、息苦しくなってきました…」。声を振り絞るように「一(かず)さん…よろしくね。その日まで、さようなら」と締めくくると、喪主を務めた夫はこらえきれず、声を上げて泣いた。

 告別式にはファン1400人、関係者800人が参列した。小達さんが「女優・田中好子の第1章は残念ながら幕を下ろしましたが、第2章第1幕を本日、今、スタートさせてあげたいと思います。好子さん、いきますよ。第2章シーン1、テイク1、用意!」と映画のカチンコを鳴らしてテープを流し、最後は「カット! OK!」とカチンコを鳴らして締めた。親族もその日まで知らなかった極秘の演出だった。

 スーちゃんの声が流れる直前、前日(24日)の通夜に続き、涙雨なのか突然、通り雨が降った。スーちゃんがセンターを務めたデビュー曲「あなたに夢中」が葬送曲として流れる中、1978年、後楽園球場での解散コンサート同様、ファンクラブの会員たちがスーちゃんのイメージカラーである青い紙テープを投げ入れた。「スーちゃん、ありがとう!」車が斎場を出る頃には、再び青空が広がっていた。

特集   訃報・おくやみ

[2011/4/26-06:00 スポーツ報知]

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