2011年4月26日11時52分
東京電力の清水正孝社長が東日本大震災が発生した3月11日の夜、関西方面の出張先から東京に戻るために搭乗した航空自衛隊の輸送機が、離陸後に引き返していたことがわかった。北沢俊美防衛相が離陸したことを知らずに被災者支援を優先するよう指示し、そのまま実行されたためだという。
防衛省によると、11日夜、首相官邸の緊急参集チームから防衛省に対し、自衛隊機を使って清水社長を帰京させられないかという依頼があった。防衛省事態対処課が統合幕僚監部などに連絡。小牧基地(愛知県)から入間基地(埼玉県)を経由して東京まで送る計画を立てた。
午後11時半ごろ、清水社長を乗せた航空自衛隊のC130は小牧基地を飛び立った。ほぼ同時刻に井上一徳事態対処課長が北沢氏に報告すると、北沢氏から「被災者救援を優先すべきだ」と指示された。この時点で北沢氏も井上課長も、輸送機がすでに離陸したことは知らなかったという。
井上課長はその後、輸送機が離陸していることを知ったが、すぐに引き返すよう指示。午後11時46分にC130に命令が伝わり、翌0時13分に、小牧基地に戻った。
北沢氏は26日の参院外交防衛委員会で「防衛省の輸送能力はすべて震災対応で物資や隊員の輸送をやるように、と指示した。行き違いがあった」と答弁した。
東電広報部は「当日は交通網が混乱し、グループ会社のヘリも夜間で飛べなかった。八方手を尽くしたが帰ってくるのは翌日になった。詳細はコメントを控えたい」としている。