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スーちゃん肉声遺言「もっと演じたかった」

 田中さんの遺影の前で惜別の紙テープを投げこむファン=東京・青山葬儀所(撮影・西岡 正)
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 田中さんの遺影の前で惜別の紙テープを投げこむファン=東京・青山葬儀所(撮影・西岡 正)

 21日に乳がんのため亡くなった元キャンディーズの女優、田中好子さん(享年55)の葬儀・告別式が25日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、夫で実業家の小達一雄氏(56)が3月29日に病床で録音された田中さんの肉声による“遺言”を公開した。東日本大震災の被災者への気づかいや、ファンへの感謝を込めた、社会貢献にも熱心だった田中さんらしい3分20秒のメッセージだった。田中さんはファン1400人による青い紙テープと「スーちゃん、ありがとう!!」に見送られ、天へと旅立った。

  ◇  ◇

 出棺の直前、突然に土砂降りの“涙雨”が降りだした。やがて雲一つない青空となったころ、キャンディーズ時代のイメージカラーだったスカイブルーのひつぎに納められたスーちゃんを乗せて、火葬場へと向かう霊きゅう車が姿を見せた。集まったファンは、200本の青い紙テープを投げ、「スーちゃん!」「ありがとう!」とコール。さながら1978年4月4日、後楽園球場での解散コンサートのように、その旅立ちを見送った。

 「普通の女の子に戻りたい」とキャンディーズ解散時、ファンにメッセージを送ったスーちゃん。体調を崩して入院していた病床でも、関係者やファンに向けた“遺言”とも言えるメッセージをしたためていた。

 夫の小達氏は喪主あいさつで、亡くなる24日前の3月29日に録音された最後の肉声を公開。田中さんが「葬儀のときに流してほしい」と預けていたという。

 遺影を前にした小達氏が「女優・田中好子としての第1章は幕を閉じましたが、第2章をきょうからスタートさせたい」と映画撮影で使用するカチンコを鳴らすと、絞り出すような田中さんの声が斎場内に響いた。

 「東日本大震災から2週間たちました。被災された皆さんのことを思うと、心が破裂するように痛み(中略)天国で被災された方のお役に立ちたいと思います」

 病魔にむしばまれ、途中で「息苦しくなってきた」と全身に痛みが走るにもかかわらず、自らのことよりも先に口から出たのは、震災で命を落とした被災者への気づかい。弟や親友だった女優の故夏目雅子さんを難病で亡くした経験から、社会奉仕活動に熱心だった田中さんらしかった。

 葬儀に列席したファンや関係者への感謝も表した、特に青春時代をともにしたラン、ミキの2人へ「ありがとう、大好きでした」と、声を詰まらせながら呼びかけた。「もっと演じたかった」と、もうかなわないことを悟りつつも、女優への執念もにじませた。

 出棺の際には、田中さんがリードボーカルを務めた、73年のキャンディーズのデビュー曲「あなたに夢中」が流された。

 あなたが好き

 とっても好き

 私はいつもあなたの

 すべてに夢中なの

 感謝と思いやりを忘れないスーちゃんに、みんなが夢中になった。その思い出は、いつまでも消えない。

(2011年4月26日)

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