東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島三県の「災害ボランティアセンター」計六十五カ所のうち約86%に当たる五十六カ所が、対象を地元の住民に限るなど受け入れ制限をしていることが二十六日、共同通信のまとめで分かった。
一部のセンターは「ボランティアは供給過剰。新たに宿泊先を確保するのも難しい状態」と説明する。被災地の一部道路では渋滞が発生しており、ゴールデンウイークを控え、「交通事情を含めて混乱を招きかねない」として新たに制限を設けたセンターもある。
ただ、ボランティア活動の専門家の中からは「統制しようとする行政的なやり方だ」と批判する声も聞かれる。内海成治大阪大名誉教授(国際ボランティア論)は「多少の混乱はあるだろうが、ボランティアの得意分野を積極的に生かすべきだ」と話した。
各市町村の社会福祉協議会が設置した災害ボランティアセンターは岩手に二十カ所、宮城に十六カ所、福島に二十九カ所。
岩手県では、宮古市が個人は市内、大船渡市は県内にそれぞれ限定。陸前高田市や釜石市は独自に募集をしておらず、遠野市などから派遣されるボランティアだけを受け入れている。
宮城県は東松島、名取、塩釜、七ケ浜、山元の五市町が県内だけ、仙台市の四カ所は市民だけにそれぞれ限っている。
福島県は、福島第一原発に近い南相馬市以外は、新規受け付けを見合わせたり、現地に通える人だけを受け入れている。
大学キャンパスに拠点を置く宮城県石巻市は、新規の応募が殺到したため、事前の問い合わせを義務化する方針に変更。同県亘理町は、これまで対象を限定していなかったが、五月一日以降の連休中は、同町で活動経験がない県外ボランティアを受け入れないことを決めた。
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