１９７１年から足かけ１９年に渡り、日本男児の股間を奮い立たせてきた日活ロマンポルノ。その終盤の８３年に生え抜き最後のアイドル女優として登場。小田かおるとのコンビ、『セーラー服百合族』シリーズのレズシーンが大評判になった。

　「高校卒業を待ち、すぐデビューしました。高２の時に児童劇団に入ったんですが、なかなか仕事が来ずに引き抜かれ、脱がなきゃ女優になれない、と洗脳されたのに近い！」

　レズはおろかエッチすら未経験。でも、親の反対を押し切って女優の道へ進んだため、悩みを誰にも相談できないまま、ポルノデビューという大胆な結論を自ら下した。

　「まさに体当たり。幼かったのでいろんな人と実際ぶつかり合いました。グラビアの仕事でアラーキー（荒木経惟）さんとご一緒した時なんか、いきなりラブホで待ち合わせ。ハプニング効果を狙ったんでしょうが、ショックで大泣きしてる大写しを使われちゃって…」

　来年６月公開予定の映画復帰作『神の左手悪魔の右手』を演出した金子修介監督とは以前、代表作『濡れて打つ』の現場で衝突したこともある。

　「宇能鴻一郎原作で、女の私には何が面白いのか分からず、ついつっかかった。それを言えば、ポルノの存在自体理解できなかったなぁ」

　日活での活動は約２年と短く、すぐに一般作やテレビに転じた。しかし、ポルノ女優というレッテルをはられ、十分な活動ができないまま、８８年に結婚・引退。相手はバブルで景気のよかった建築関連業者だったが、その後破産し、夫婦仲も冷えきり、８年で破局を迎える。

　「２人の子を女手一つで育ててきました。パートもＯＬも、水商売も経験し、必死になって働き、家の頭金もため、２年前の６月には、赤坂にアロマテラピーのサロンも開いたんです」

　それは子供の頃からの夢が結実した仕事。幼い頃は病弱で、よく病院に通い、近所の花屋に見とれた。やがて白衣の天使にも憧れ、中学の音楽教師の表現力に圧倒され、音大の付属高校に進む。音楽と花の香りとマッサージの三要素が合わさって癒す、「理想的な仕事」をようやく見つけたのだった。

　そんな癒しの空間で、ポルノの妖精自らが施術。再び女優業に忙しくなる前に、ファンならずとも、ぜひお世話になりたいものだ−。

■やまもと・なつこ　１９６５年千葉県生まれ。８３年に『セーラー服百合族』でデビュー。今年から本格的に女優活動を再開し、総務省と（財）明るい選挙　推進協会によるネット公開のオムニバス映画の１本『希望の党』にも出演。アロマテラピー　トリートメント　サロン　Ｌｉｖｅ　ｏｎ（２）はＴＥＬ０３・３４７５・７７６５、http://www.mitico.jp/liveon2/

ZAKZAK 2005/12/15