白鵬が会見　「７連覇？どうでもいい」

　技量審査場所（５月８日初日・両国国技館）で朝青龍と並ぶ史上最多タイの７連覇に挑む横綱白鵬（２６）が２５日、所属する東京都墨田区の宮城野部屋で会見し、複雑な心境を吐露した。

　本来ならこの日は、夏場所の番付発表だった。初場所後に発覚した八百長問題で２５人が処分された。その騒ぎのさなかに東日本大震災が起き、白鵬自身も心を痛めながら被災者の慰問に回ったり、募金活動を精力的に行った。「今、相撲をやっていいものかと、正直な私の中の気持ち」と、心の中に疑問は抱えたまま。とても相撲を取れる精神状態ではないようだ。

　７連覇に対しても「記録はどうでもいいや」と苦笑いを浮かべた。技量審査場所は本場所として扱われず、優勝者への天皇賜杯もない。野球賭博問題の影響から昨年の名古屋場所で賜杯なき優勝に涙したことを振り返り「２度と泣きたくないから優勝しない方がいいんじゃない」とつぶやいた。

　「引っ張っていくのは横綱では」と問いかけられても「だんだん（そういう気持ちが）薄くなっていく。年かな。こうなるともう一人、横綱がほしいね。一人がみんなのため、みんなが一人のため。私一人がどうのこうの言うより、全体がよくなっていかないといけない。その辺が難しいところ」と弱気な言葉が続いた。

　だが、こんな時だからこそ白鵬にかかる期待は大きい。「日本が大変な時に相撲を取ってる場合じゃないと思うし、野球やサッカーがやってて、今やるときというのもある。その辺をうまくコントロールして初日にもっていければ」。自分に言い聞かせるように話した。　（岸本隆）