その改革をやり抜いてもなお税収が不足するのであれば、消費税でも法人税でも所得税でも何でも上げればいい。
構造的デフレ経済に原発デフレが追加された
しかし、改革は何もしないで、一方でばらまきは続けて、ハイ増税ですと言われて納得する国民がいるのだろうか。納得したとしても、経済は明らかに冷える。そのことは過去に証明済みだ。
しかも、今の日本は生産人口が急激に減っている最中で、構造的なデフレ経済下にある。そこでさらにデフレを加速させる増税を行うという。
しかも、福島第一原子力発電所の事故で海外からの観光客が全く来なくなったばかりか、日本に住んでいた外国人までが日本から逃げ出している。これもまた強いデフレ要因である。原発デフレと呼んでもいい。
そんな状況を少しは勘案してか消費税を上げるにしても、期限を設けるという。しかし、何と見え透いたことか。ガソリンの暫定税率を見れば、成り行きは明らかである。一度上げた税金を元に戻すはずがない。
今の日本がやろうとしているのは、平時と緊急時を全く取り違えた政策と言える。財政健全化はきっちりと平時に取り組むべきで、今は赤字国債を発行してでも、日本の1日、いや1秒でも早い経済復興を進めなければならない。むしろ必要なのは民間の活力を上げる減税だ。
トヨタの稼働率は今年50%以下に
日本は世界経済の極めて重要な一員である。日本からの部品が滞っていることで困っている国や企業がいっぱいある。世界への責任という意味でも、早期の復興は不可欠だ。責任感という意味では、2001年9月11日の同時多発テロの際の米国とは好対照である。
4月22日にトヨタ自動車は緊急会見を行った。それによるとトヨタの生産が正常化するのは今年11月から12月になるという。それまでは国内で稼働率が50%、海外では30~50%にとどまるという。
こうした緊急時に財源議論を持ち出して、政策を遅らせる意味が不明である。不明と言うよりも、この緊急事態のどさくさを利用して消費税を上げてしまえ、一度上げる道筋をつけてしまえばあとは官僚のさじ加減次第だ、という意図が透けて見える。
これを火事場泥棒と言うのではないだろうか。そして火事場泥棒が成功した暁には日本はどうなるのだろうか。財政は均衡に向かうのか。
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