最近、海外生活の長い友人が被災地にボランティアに行くというので、「犯罪が多発しているそうですからお気をつけて」と言うと、「それもまた被災地ですから」とのあっけない答え。
火事場泥棒は国際標準?
海外でのボランティアに慣れた人の条件反射のような反応なのだろう。でもそれを聞いて何だか虚しくなった。日本人も同じなのか、と。
日本には「火事場泥棒」を戒める文化が今でも少しは残っていると思っていたからだ。密集地に住み火事の多い日本ならではの道徳観であり、皆で協業しないことには生産が成り立たない農耕民族として島国の中で醸成された習慣と言えるかもしれない。
しかし、そんなものは残っているとしてもただの形骸にすぎなかった。被災地の犯罪多発は日本が失ってしまったものを目の前に見せてくれたのかもしれない。
それにしても火事場泥棒とは、何と卑しい醜いものなのだろう。たとえそれが世界標準だとしても、日本が好んで向かうべき方向ではないと思うのは私だけだろうか。
ところが、目を転じてみると、日本で壮大な火事場泥棒が行われようとしている。震災復興という名の増税である。
ビジョンなき安易な増税
何と安易な、手抜き、卑しい政策なのだろうか。リーダーシップもビジョンもかけら一つない。お金がなくなったから増税するしかありません。ほかの手は打とうにも打つ方法も分かりません。たとえ分かったとしても反対が多いからできません。
こんな政府ならない方がマシではないのか。
税制の議論は平時にきちんとしなければならない。国の大きな方向性を決める大問題だからだ。小泉純一郎元総理と竹中平蔵元経済財政担当大臣のコンビが、改革の痛みとそれに伴う強い批判を避けずに長期ビジョンと工程表を示して取り組んできたのとは正反対に見える。
日本は甘すぎる経営を何十年と続けてきたのだから、改革には大きな痛みを伴う。それは、甘やかされてきた業界や人々には一層辛いことかもしれない。
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