独島小説出版の判事、外交通商部にスカウト
本を読んだ金星煥長官がスカウトを指示
早ければ7月から1年間勤務
独島(日本名:竹島)をテーマに小説を書いた判事が、外交通商部(省に相当)に「スカウト」された。
その主人公は、大邱地裁家庭支院に勤務するチョン・ジェミン判事(34)。外交通商部と大法院(最高裁判所に相当)が先ごろチョン判事の異動に合意しており、行政安全部が同意すれば、早ければ7月から1年にわたり、外交通商部の国際法律局領土海洋課で働くことになる。
「最初に外交通商部の国際法律局長から連絡を受けたときは、なぜ小説で同部を悪く書いたのかと叱られるものと思った」。チョン判事は25日、本紙の電話取材に対し「思いがけず『本が良かった』と褒められ『(外交通商部で)働きなさい』との言葉まで頂き驚いた」と語った。
スカウトのきっかけとなった本は、2009年に「ハ・ジファン」というペンネームで出版した『独島イン・ザ・ハーグ』と題する500ページほどの小説だ。日本が緻密な計略を練り、自衛隊の艦艇を独島近隣に派遣したため、独島領有権問題がオランダ・ハーグに本部を置く国際司法裁判所(ICJ)に付託されるという架空のストーリーを描いた。
ソウル大学法学部で国際法を専攻したチョン判事は、04-06年にかけて国防部国際政策チームで法務官として働き、次第に独島問題に関心を持つようになった。調査のためハーグにも足を運んだという。「日本の主張の虚構性をさまざまな側面から研究したが、裁判官の私が議論する話ではないため、小説として書いた」。チョン判事は独島を国土に編入した新羅の将軍、異斯夫(イサブ)をテーマにした小説など3冊を出版し「小説を書く判事」として知られるようになった。
外交通商部での勤務は、今月初めにイ・ギチョル国際法律局長が同部の金星煥(キム・ソンファン)長官にこの本を贈ったことが契機となった。イ局長は「独島に関する国内外の書籍を点検する中で、チョン判事の本を2冊読んだ。若い法曹人が独島について相当勉強したと感心し、長官と次官に紹介した」と説明した。小説に表れた外交・国際法の広範な知識に感銘を受けた金長官は、チョン判事を外交通商部にスカウトするよう、イ局長に指示したという。
スカウトに対する外交通商部内の反応はさまざまだ。ある当局者は「長官が推進する部の改革に向け、外部から人材を受け入れ、組織を多様化する必要がある」と評価。一方、別の当局者は「独島は韓国領なのに、ICJに付託する状況を仮定した本に関心を向け過ぎるのは望ましくない」との考えを示した。
チョン判事が勤務する予定の国際法律局でも、反発はある。小説の中で、同局は旧名称の「条約局」として登場するが、条約課長や局長がネガティブに描かれているためだ。条約課長は気性が荒く別名「魔女」と呼ばれており、条約局長はかつての外交次官の息子という血筋を利用しよい職務を手に入れるが、専門知識がない。これに対しイ局長は「小説の設定は気にしていない。国際法に対する深い知識を土台に、独島領有権を守るための論理をさらに見いだしてくれるよう期待している」と述べた。
- チョン・ジェミン判事/写真=イ・デウ記者
金真明(キム・ジンミョン)記者