2011年4月23日16時1分
AKB48のブレークでアイドルシーンが活気づいている。「ポストAKB」の座を目指し、個性的なグループが熱く競い合う。
■奇抜な衣装・振り付け
AKBに続く存在として期待が高まるのが、「ももいろクローバーZ」だ。平均年齢15歳の5人組。その斬新さは突き抜けている。
ハイテンションでくせのある楽曲にのせて、側転などを織り交ぜたアクロバチックな振り付け。各自にイメージカラーを配した奇抜な衣装で、戦隊ヒーローのように個性を際だたせる。
「アイドルイコールかわいい、というイメージを、ももクロが壊したい」とリーダーの百田夏菜子。
最新シングル「ミライボウル」のカップリング「Chai Maxx」では、ドリフターズのヒゲダンスや、プロレスラー武藤敬司の決めポーズを振り付けに採り入れ、話題に。佐々木彩夏は「ファンのみなさんをびっくりさせようといつも考えている」と言う。
「いま会えるアイドル」をキャッチコピーに、ワゴン車で各地の家電量販店を回るなど、地道な活動でファンを開拓。1日3回のステージも日常茶飯事で、昨年は約230本をこなした。「ファンの方の名前も覚えて、逆に体調を心配してしまったことも」と高城れに。目標は、日本武道館でライブをして、観客全員と握手することだ。
今月10日に早見あかりが脱退し、5人になった。その公演で「ももいろクローバー」に「Z」を加えたグループ名に変えると発表し、ファンを騒然とさせた。話題をふりまく仕掛けも、耳目をひくゆえんだ。
■「身近な交流」を追随
2日、愛知県の愛・地球博記念公園の芝生広場に、長蛇の列ができた。AKBの名古屋版、SKE48のシングル「バンザイVenus」の購入者を対象とした握手会だ。集まった約4500人が、お目当てのメンバーのブースに並んだ。
ポストAKBの中で、一歩抜きんでるのがSKEだ。3月発売の「バンザイ〜」は20万枚を突破。地域密着で足元を固め、全国区に躍り出ようとする。松井珠理奈は「大人数での一体感があって激しいダンスは負けない。AKBは今はあこがれだけど、いつかは比べられる存在になりたい」と意気込む。
握手会などを重ねてファンと身近な交流を図る、AKBが成功させた戦略は、ももクロやSKEら後発組も追随する。「グループアイドル進化論」の共著者でライターの岡島紳士さんは「成長過程を『現場』で見せ、友達を応援するような感覚からファンを積み上げていく手法」と言う。
岡島さんが今後の注目株として挙げるのは、エイベックス所属で楽曲の質が光る「東京女子流」、ロックテイストが新鮮な「ぱすぽ☆」だ。「ファンとの距離をさらに縮めるツイッターやユーストリームなど、新メディアの活用もかぎになる」と話す。(宮本茂頼)