東京電力は26日までに、福島第1原発4号機のタービン建屋地下にたまった水の放射性物質濃度が、1カ月で最大約250倍まで高くなったことを明らかにした。3号機のタービン建屋地下から流出している可能性が高く、水位も上昇傾向にある。1~3号機の汚染水に比べれば濃度は低いものの、移送先は確保できておらず、事故収束に向けた新たな難題が浮上した形だ。また、東電は同日、水がたまっている1号機格納容器で、燃料上部まで水で満たして原子炉を冷やす「水棺」作業に本格的に移行するか判断するための作業に入ると公表した。【阿部周一、八田浩輔】
東電は21日、4号機タービン建屋地下のたまり水を採取し、1立方センチ当たりの放射性物質濃度を調べた。その結果、4号機では半減期が約30年と長いセシウム137が8100ベクレル、セシウム134(半減期約2年)が7800ベクレル検出され、いずれも前回調査(3月24日)の約250倍に上昇。ヨウ素131(半減期約8日)は12倍の4300ベクレルだった。
水深は26日午前7時現在1.15メートルで、13日の0.9メートルから2週間で25センチ上昇した。3、4号機のタービン建屋は共通の電源盤などを置く電気品室を通じてつながっており、3号機で原子炉冷却のために注いでいる水が、ケーブルの隙間(すきま)などから4号機側に流出している可能性が高いという。東電は「建屋外への漏出は見られないが、移送先を早く確保する必要がある」と説明している。
また、燃料棒が約7割損傷しているとみられる1号機の「水棺」計画を巡り、東電は26日に原子炉建屋にロボットを投入し、映像から配管などを含む格納容器の損傷の有無を確認すると発表した。さらに27日以降、一時的に原子炉への注水量をこれまでの約2・3倍にあたる毎時14立方メートルに増やし、圧力や水位の変化から水棺が可能か見極める最終判断を行う。
水棺作業は、事故収束に向けた工程表で最初の3カ月目標に掲げた対策の一つ。現在、圧力容器に注いだ水が漏れるなどして、格納容器には深さ約6メートルの水がたまっているとみられる。東電は格納容器を燃料棒上部まで水で満たすことによる冷却効果を期待しているが、耐震性や格納容器内にたまった水の冷却方法などに課題が残っている。
毎日新聞 2011年4月26日 11時40分(最終更新 4月26日 11時47分)