福島原発を注視する技術者、山田恭暉さん(七二歳)がこのほど「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」を呼びかけている。山田さんは住友金属工業で技術者として三〇年勤続した経験をもとに、技術者仲間との議論の末、以下のような決意を呼びかけた。
(1)原発の暴発を防ぐには、一〇年作動する冷却設備を設置しなければならない(2)高度に放射能汚染された環境下での作業となる(3)それができなければ広範な汚染が発生する可能性がある(4)阻止するには、現場作業や技術を蓄積した退役者たちが次世代のために働くしかない。
当然、被曝するわけであり、大半の人間は賛否の判断にとまどう。「人のせいにしているのは気楽なことですけども、我々は原発で作った電気を享受し、それを許してきた」と山田さんは決意の理由を次のように語る。「被曝の制限で一〇分、一五分で帰ってこなければならない中ではまともな設備は作れない。三、四時間続けて作業をしなければというのが私たち技術者の実感。ロボットを使うにしても、手で触りながらやらないとできない仕事が残る。誰がそれをやるか。自衛隊がやればいいと言う人がいるが、若い奴にやらせるわけにいかない」。
実現の道筋も探り始めている。「東京電力に言っても受け付けないでしょう。政治の力を使わない限りこのプロジェクトは実現しない」との認識で政治家と話し、「長期にわたる国の体制として退役した元技能者・技術者のボランティアによる行動隊を作ることを提案」したいと呼びかけ文に記した。「原発専門の技術者に聞くと数カ月なら応急措置でも回せる。その間、作業の訓練を一、二カ月行なう。技術者といっても原発作業の専門家ではありませんから」と実現可能性を追求する。
「反対や批判は承知の上。だけど最悪のシナリオを書いて、やらなければいけないことからやる。これは技術者が心をこめてやらなければ。報酬があってやっちゃダメです」と捨て身である。
五〇〇通のメール、二〇〇〇通の封書で呼びかけを始め、すでに二五人が参加を表明した。この覚悟を東電と政府はどう受け止めるのか。プロジェクト連絡先は山田恭暉さん電話番号 03・5659・3063
まさのあつこ・ジャーナリスト
著者:明石昇二郎
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