「逃げろっていうんだからしょうがない。でも牛はどうなる」
22日、計画的避難区域に指定された福島県飯舘村で農業を営む林國雄さん(67)、スイ子さん(64)夫妻はやりきれない表情でつぶやいた。3世代7人の大家族だが、高校生の孫ら2人は既に村外に避難。遠からず自宅を離れる林さん夫妻の移り先はまだ決まっていない。
夫妻は牛がいる限り避難先から通い続ける覚悟だが、昨年から蓄えてあった餌は来月には底を突き、牧草は土壌汚染で栽培できない。「見殺しにはできない。国は責任を持って対応してほしい」と語気を強めた。【写真・文 須賀川理】
毎日新聞 2011年4月23日 東京朝刊