2008年10月02日

「北九州監禁連続殺人事件」


「北九州監禁連続殺人事件」

松永太 ・ 緒方純子


20081002-11

監禁されていた17歳の少女の脱出によって
世にも恐ろしい事件が発覚することとなった


緒方被告に無期、松永被告は死刑
福岡高裁

北九州市小倉北区の監禁・連続殺人事件で、殺人罪などに問われ、1審・福岡地裁小倉支部で死刑判決を受けた松永太(46)、緒方純子(45)両被告の控訴審判決が26日午後、福岡高裁で言い渡された。

虎井寧夫(やすお)裁判長は、緒方被告について1審判決を破棄して刑を軽減し、無期懲役とした。

松永被告は1審判決を支持、控訴を棄却した。

控訴審は、1審でほぼ全面的に起訴事実を認めた緒方被告が「松永被告の激しい暴力によって判断力が喪失し、道具として利用された」無罪主張に転じたため、緒方被告の責任能力の有無が焦点となった。

事件は2002年3月、当時17歳の女性が監禁されていた小倉北区のマンションから逃げ出して発覚。

05年9月の1審判決は、両被告が共謀し1996年2月〜98年6月、女性の父親と緒方被告の親族の計6人を首を絞めるなどして殺害したと認定。
緒方被告の父親については殺人罪ではなく、通電による傷害致死罪を適用。
「首謀者は松永被告だが、緒方被告も主体的に積極的な意思で犯行に加担した」とし、求刑通り死刑を言い渡した。

両被告は1審判決を不服として控訴
緒方被告は控訴審で「松永被告の意思や行動を絶対視する人格変化と、感情や現実感を喪失する解離症状が表れた」とする精神科医による鑑定意見書を提出。松永被告は「殺害の指示も実行もしていない」と無罪を主張した。

検察側は「緒方被告は判断力が喪失したとまで言えない。松永被告の主張は信用できない」と反論した。
(2007年9月26日 読売新聞)

20081002-13

全国776人の減刑嘆願書

20081002-12北九州連続殺人事件の緒方純子被告(45)は殺人などの実行行為を認めながらも、松永太被告(46)のドメスティックバイオレンス(DV)で「正常な判断ができなかった」と控訴審で一転、無罪を主張。弁護団によると、全国のDV被害者ら776人が福岡高裁に減刑嘆願書を寄せた。

1審判決によると、緒方被告は亡くなった7人と同様に、松永被告から電気ショックを与えられるなどの虐待を受けていたとされ、事件の複雑な構図を象徴する。

スタンガンによる感電の経験がある女性は嘆願書で「DVによる支配が進めば、自尊心の喪失や絶望感で極限状態になり、その地獄から逃げることさえ拒ませる心理に陥る」と指摘。別の女性は死刑判決を「ほかのDV被害者のためにも再検討してほしい」と訴えた。

緒方被告の供述が事件の解明に大きな役割を果たしたこともあり、捜査を担当した福岡県警の幹部「2人の量刑に差がないというのは、個人的には考える部分もある」と明かしていた。

悲惨な状況から逃げ出したり、周囲に相談することさえできないDV被害の実態。検察側も緒方被告がDV被害者であることは否定しなかったが、「より強度な違法行為に次々と手を染めていった。DV被害の問題とは異質な面がある」とし、刑を軽減する理由にはならないとの立場を取った。
(2007/09/26 Sankei Web抜粋)

相関図

〈 事件概要・裁判経緯 〉↓

〈事件概要〉
布団販売会社経営松永太被告と元幼稚園教諭の緒方純子被告は1982年頃から交際を始め、事実上の夫婦関係にあったが、1992年に会社が多額の負債を抱えたため逃亡。指名手配されたため、マンションなどに隠れ住むようになった。
 
1994年10月、北九州市のマンションで松永被告と緒方被告は不動産会社員だった男性・娘と同居を開始。
1996年2月、マンションから逃げ出そうとした男性(当時34)を風呂場に何日も閉じ込め、食事もろくに与えず体に電気を通して衰弱させ、多臓器不全で死亡させた。
松永被告はノコギリやミキサーで遺体を解体し、公衆便所や海に捨てさせた。男性の娘はその後、ずっと監禁された。
 
1997年から同じマンションで緒方被告の親族6人が両被告と同居を開始。緒方家は財産のほとんどを松永被告に吸い取られていた。松永被告は家族全員に通電による虐待を繰り返し、食事も満足に与えなかった。松永被告は緒方被告にも通電虐待を繰り返していた。
 
1997年12月21日、両被告は緒方被告の父親(当時61)の発言をきっかけに通電行為を行い、死亡させた(この事件のみ、傷害致死)。
 
1998年1月20日、両被告は逃亡生活や父の死が露見することを恐れ、緒方被告の母(当時58)を絞殺した。手をかけたのは妹の夫、足を押さえたのは妹とされる。
 
2月10日頃、両被告は緒方被告の妹(当時33)を殺害した。手をかけたのは妹の夫、足を押さえたのは娘とされる。
 
4月8日頃、虐待と不十分な食事で栄養失調の状態にあった妹の夫(当時38)は、高度の飢餓状態に基づく胃腸障害を発症した。しかし両被告は暴行、虐待を加えた事実が発覚することを恐れ、医師の適切な治療を受けさせず、同マンション浴室内に閉じ込めたまま放置して衰弱させ、同月13日ごろ、胃腸障害による腹膜炎で死亡させた。
 
5月17日頃、両被告は妹の息子(当時5)を殺害した。両被告はすでに殺害されていた母親に合わせるとだました上に、妹の娘に息子を絞殺させた。足を押さえたのは監禁されていた少女、手を押さえたのは緒方被告とされる。
 
6月7日頃、両被告は妹の娘(当時10)を縛り上げ、電気コードの先端にクリップで体にはさみ10分間通電させ、また監禁されていた少女に首を絞めさせ、感電死もしくは窒息死させた死体はいずれもバラバラにされた上、海などに投げられたため、見つかっていない。
 
また松永被告は学歴などを詐称して女性(当時36?)と交際。緒方被告と共謀して1996年12月30日から1997年3月16日にかけ、女性と二女(当時3)を同市小倉南区のアパート二階の四畳半和室に閉じこめ、入り口には南京錠をかけて監禁。
電気コードに取り付けた金属製クリップで女性の腕などを挟み通電させるなど、連日暴行を続け「逃げようとしたら捕まえて電気を通す」などと脅迫した。
女性は3月16日未明、すきを見て部屋の窓から路上に飛び降り脱出したが、その際、腰の骨折や肺挫傷などの重傷を負った。また松永被告は女性に対し、「母親から金を引き出せ」などと脅迫し、現金を奪った。
 
両被告は2002年、北九州市の別のマンションで少女を感電させるなどして虐待し、約1ヶ月のけがを負わせた。
 
2002年3月6日早朝、マンションで監禁されていた少女(当時17)が脱出したため、犯行が発覚。翌日、両被告は逮捕された。
二人は別の部屋で男児4人を監禁していた。男児(当時9、6)は両被告の息子であった。双子(当時6)は別の女性(当時35)の家庭の不和につけ込んで預かった子供で、女性から約2500万円を貢がせていた。

〈裁判経緯〉
◆ 一 審 
2005年9月28日 福岡地裁小倉支部 若宮利信裁判長 死刑判決
● 裁判焦点
遺体などの物的証拠は見つかっていないため、検察側は緒方被告や監禁されていた少女の証言を元に二人を起訴。
検察側はすべての事件について殺人で起訴。
論告で、松永被告を「善悪のたがが外れた首謀者」、緒方被告を「愚直な実行者」と位置づけた。
その上で、一連の事件は被害者に虐待や生活制限を加えて支配し、金づるとしての利用価値がなくなると口封じのため殺害を繰り返した計画的犯行と指摘。「被害者に家族の殺害、死体処理を手伝わせ、揚げ句に殺害するという鬼畜の所業」と指弾した。
 
緒方被告が公判で「松永被告の指示がなければ殺さなかった」と供述している点については「二人は車の両輪のような関係。松永被告の指示に忠実でなければ、これほどの大量殺人を遂行し得たかは疑問。刑事責任は松永被告に劣らず重い」として、共同正犯の成立を主張した。
 
また、「緒方被告が勝手にやった」と全面否認する松永被告の供述も「不合理な虚偽弁解。救いようのないほど反省の情が欠如している」と批判した。
 
緒方被告が公判段階で殺意を否認し、傷害致死罪の適用を主張した被害少女(保護当時17)の父親(当時34)殺害については「虐待を続ければ死に至ることは予見できた」と指摘。
両被告が殺意を否認する緒方被告の父(当時61)殺害は「両乳首と唇への通電は死の危険が大きいことを認識していた」と述べ、両被告の主張を退けた。

緒方被告は緒方被告の父(当時61)と監禁被害女性の父(当時34)については傷害致死罪の適用を主張したが、その他については起訴事実を大筋で認めており、一連の犯行は松永被告の主導と主張。
弁護側は「松永被告の支配下での犯行だった」と強調するとともに、事件の全容解明に貢献したとして情状面から死刑回避を求めていた。

松永被告は、緒方被告の父(当時61)については一部関与を認めたうえで傷害致死罪を主張。
監禁被害女性の父(当時34)については「浴室で転んで頭を打った事故死」、緒方被告のほかの親族5人については「家庭内の不和などが原因で、緒方一家で殺害し合った」として関与を否定している。
松永被告の弁護側は、緒方被告の供述の信用性に疑問を呈し、「緒方被告は死刑を免れるため、『いずれの事件も松永被告から指示された』と主張している可能性がある」と反論した。
検察側が緒方被告の供述と共に立証の柱にした監禁被害少女の証言について「当時は年少であるうえ、極めて特異な環境で育ったことによる認識能力へのマイナス影響もあり、信用性に問題がある」と主張した。

一審若宮裁判長は、緒方被告の供述について「自己に不利益な事実も含めて一貫しており、事件の核心部分においても女性の証言と一致している」と信用性を高く評価し、「真相解明を前進させた」と述べた。
松永被告の供述については「事実をわい曲している」として退けた。
そのうえで、監禁された女性の父の殺害について「金づるとしての価値が無くなり、疎ましくなったため、松永被告が主導して緒方被告と黙示的に通じ合い、連日の暴行、虐待で死亡させた」と判断。
緒方一家殺害については「生き地獄のように過酷で、松永被告は支配しただけでなく、家族を疑心暗鬼、相互不信に陥らせ、孤立させた」と述べた。
 
父の事件は「通電行為により死亡させたが、死後に蘇生行為をしていることなどから、殺意の認定には合理的疑いが残る」とし、殺人罪ではなく傷害致死罪を適用した。
しかし、母については、夫の死後、精神的に変調をきたして大声を上げるようになったため、「松永被告が緒方被告らに示唆し、絞殺させた」とした。他の4人殺害についても、同様に松永被告の指示がなければ、殺害は実行されなかったと指摘した。

◆ 二 審
2007年1月24日の控訴審初公判で緒方被告は一審と異なり、「過酷な虐待で精神的に支配され、松永被告の『道具』として殺害行為を行った」と述べ、利用された側は罪に問われない「間接正犯」にあたるとして無罪を主張した。
また「松永被告からの暴行で行動を制御できない状態で、責任能力は喪失か減弱していた」と精神鑑定を申請した。
 
松永被告側は一審同様、無罪を訴えた。さらに、「緒方被告は一連の犯行前、別の殺人事件を起こしており、それを知った親族の口を封じたいという動機があった」と新たな事件の構図を主張した。
 
7月2日の最終弁論で松永被告の弁護人は「緒方被告は一連の事件前、別の殺人事件を起こし、それを知った親族を口封じする殺害動機があったが、松永被告にはなかった」と改めて主張し、緒方被告側は「松永被告の暴力で責任能力が喪失、減弱し、道具として利用されたに過ぎない」として、ともに無罪を訴えた。
 
被告人質問で、緒方被告は、事件で犠牲となった父らの名を挙げ、「取り返しのつかないことをしてしまった」と涙声で謝罪。
松永被告は「(緒方被告らに)殺人するほどの影響を与えていない」と大声で関与を否定した。
 
緒方被告側が申請していた精神鑑定請求は却下された。

検察側は「松永被告の供述は全く信用できない」と主張した。緒方被告については「松永被告の強い影響下で、判断力、批判力が低下したとしても、喪失したとまでは言えない。一連の犯行は緒方被告の存在がなければ実現できなかった」と指摘。両被告の控訴棄却を求めた。
(「犯罪の世界を漂う」)
※この記事へのコメント

こんなに恐ろしい事件は滅多に無いと思います。
想像すると吐き気がしてしまうほどです。
これが極刑でなければ困ります。
とことん証拠を消せば、罪は軽くなると思われてしまう。
証拠が無ければ限りなく黒に近い白でおしまい。
困ったものですね。
Posted by イタチ at 2008.10.02. 04:56
DVを言い訳にしてるけど、なんであろうと人を殺してんじゃん。なら答えは決まってると思うけど。
精神的支配を受けてたならなにしてもいいの?
間違ってますかな?
Posted by 今宵の小鉄 at 2008.10.02. 20:15
イタチさん
今宵の小鉄さん
こんばんは。

この裁判に変化があったわけではないですが、
過去の事件の資料をまとめつつ、しばらくはこういうエントリーを挿めていくつもりです。

これも凶悪凄惨で吐き気をもよおすような事件。
松永太の狡猾で強かさは今更書き連ねることもありませんが、事件解明に繋がった緒方純子の存在がある限り、極刑は免れないところでしょう。

また緒方純子についての判断は分かれるところでしょうね。
たとえ松永太の暴力支配があったとしても、実行犯としての罪の重さは免れない。
当然、松永太同様の死刑判決であってもいい。

また、緒方純子もDVの被害者であり、異常な環境の中で正常な判断ができる状態ではなかったとし、しかし、その犯した罪は罪として有罪、ただし無期懲役とする。無罪はありえない。

これはどちらも正論と思えます。
私的感情でいえば、松永太と緒方純子の量刑に差があって然りとも思います。

緒方純子は死刑判決を覚悟していたし、DVというものも指摘されるまで知らなかった。
ここに終身刑があれば、選択しやすいでしょうが、やはり、死刑と無期懲役の差は大きい。
今後の公判の行方を見守りましょう。
Posted by shadow9 at 2008.10.02. 23:33
「北九州一家殺人」の松永太。大量殺戮の成果はトホホなものでショボ(笑)

最初の金づる殺害あたりに保険金詐欺でもついていたかと思いましたよ。使い途ないから殺害だとはね。

まあ子細に事件読ませてもらって思うに松永太は快楽殺人の可能性もあり。

早く死刑執行を頼みたい。虫けら松永が済んでから緒方ですね
Posted by 地獄絵巻そのもの at 2009.02.04. 15:51
「地獄絵巻そのもの」さん、ようこそ。

松永太の残忍で凶暴な暴力支配によっての監禁・殺人。
遺体の処理にしても、あの星島の殺人解体事件など及びもしない阿鼻叫喚の地獄。

いまは二人とも上告中ですので、まだ確定はしていません。
最高裁の判断を待ちましょう。

Posted by shadow9 at 2009.02.05. 00:27
松永太は胸くそ悪い悪党でしたか

「北九州一家監禁」と「千葉県市川一家4人殺害」の関光彦(←死刑だがまだピンピンしてる)

実は両事件とも極悪犯人を"女"が家庭に導いて起きてしまった。

緒方に同情とか死刑から減刑とか言われてもいるが、一家の不幸の原因を呼んだのはどうしても、だね。

気持ちの切り替えで幸せな家庭に流行り病いを持ち込んだような

いやいや不謹慎でしたね 
Posted by なんと なんと 唖然 at 2009.02.08. 00:31
こんな馬鹿は死刑じゃ飽きたらん!(`o´)

死刑を逃れ様とするから更にアホ!

こんな馬鹿はを頭が賢いと言う人もいるが この松永は残虐性を持つタダの馬鹿!

頭が本当に良いなら捕まりはしないけど(笑)
この馬鹿は反省する見込みもないから早く死刑執行をするしかない!

この馬鹿の為に被害に遭われた方々に本当に心から御悔やみを申しあげますゴメン/お願い

Posted by つよし at 2010.11.14. 16:25
松永王国でも作ったつもりか!ボケが!お前が快楽で指示・実行した生活制限・通電をお前がイヤと言う位味わって、自分の犯した鬼畜大犯罪を、地獄で反省しろ!何も分からない非力な未来があった小さな子供まで巻き込みやがって!!
Posted by 平和 at 2010.12.19. 06:12
この人に通電と食事制限をするべきだよ。

絶対に許せない・・
Posted by 許せない at 2011.03.11. 05:16
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