1968年 |
横浜生まれ |
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1990年 |
東北大学工学部建築学科卒業 |
1990年 |
旭化成工業入社 工事を担当 |
1993年 |
設計を担当 |
2005年 |
SHIBUYA DESIGN OFFICEのデザイナーとなる |
現在改名したTOKYO DESIGN OFFICEのデザイナーとして活動
設計思想
私が設計をする上でいつも気をつけていることは客観的目線を持つことです。
設計上、客観的目線を持つこと。これは東京デザインオフィスを特長付けている「チームデザイン」の手法に通じますが、主観だけで考えないこと、必然性を大切にすることです。例えばなぜこういう形をしているのか、なぜこの窓はここにあってこの大きさなのか等を理由付けできることでしょうか。
そうやって内にも外にも必然性からできた形はとても美しいものです。
FORM FOLLOWS FUNCTION(形は機能に依存する)という言葉がありますが、住宅のように機能を必要とするものにはそういう要素があると思っています。
心地よい空間づくりにかかせないもの
■ 2つの拠りどころ
必然性から生まれた形は、同時に心地よい空間になっているか、という検証が大切です。
その解法は、土地に由来するものと住まい手に由来するものの2つしかありません。前者の「土地」は、実際そこに行き、広さや地質、周辺の環境等を体感しながら、土地の持つ利点は最大限取り込み、逆に悪い点は最大限配慮し、私はここで、「何をなすべきか」を考えます。
また後者「人」は、「お客様の想い」ですが、その建物にこれから長く住んでいただく以上妥協はしてほしくありません。お客様の想いが色濃く存在し多様であるのが住宅で、ここに奥深さと面白さがあると思っています。お客様に対してお話をよく聞くのは当然ですが、時には建物以外の話をよくします。その人なりの生活において本人も気づいていないような特異な部分を捉え「本当は何がしたいのか」を見つけます。
■ スケッチ・緑・写真
この3つは私が得意としよく使っている手法です。
スケッチは空間把握、確認のためによく描いていますが手を動かすことで心地よいものを見つけていきます。それは街並みを構成する外観であったり、部材の細かな取り合いであったりスケールは様々です。空間の想像がいかに正確にできるかが、素人とプロの違いと思っていますが、それをイメージできるまで繰り返します。
また心地よさには自然との融合がかかせません。
自然の中の建物、人工の中の緑は美しいものです。よく日本の寺院建築にも庭がなかったら取るに足らないものと言われます。個人的にも樹木は好きで、建物には自然を極力融合させたいと考えています。
この仕事を通じて写真を撮るようになりましたが、ファインダーを通して感じたことは「設計は構図と光で決まってしまう。」そんなふうに思うようになりました。設計者として言いたいことの全ては構図にあり、光と影のコントラスト・グラデーションが強弱を支配するものだという哲学になり、お客様のプレゼンテーションに活かすように考えています。
■ システム住宅ヘーベルハウス
私たちにはシステムの力があります。それはひとえに安心感です。
同時にマスに力でもあります。すなわち良くも悪くも数をたくさん作っていくということであり、それだけに神経を使わなくてはいけません。個性的なものがいい家とは限りませんし、奇抜な家はむしろ街並みにはNGです。欧米の借り物のデザインで、それほどの積雪もないのに急勾配の屋根とか、単に高気密高断熱で高温多湿な日本の気候を無視した風通しが悪い家等も本来のものではない気がします。家らしさとは何か、長く飽きのこないロングライフデザインとは何かを考えることは日本の住宅の向上につながってゆくと思っています。
私は子供のころ大工さんの仕事を一日見ていていた記憶があり、いつか自分の家を設計したいと思うようになっていました。今、衣食住のひとつを担う仕事に就き、住まい手に対しての責任を感じています。そのため私は自分の家を作るのと同じ気持ちで設計をしています。
注目している建築家等
好きな建築家は住宅を丁寧に作っている、吉村順三、宮脇壇、中村好文、伊礼智。屋根の見せかたの上手い内藤廣、チームデザインの模範である手塚貴晴・由比、納谷兄弟また必然性を徹底的につきとめる千葉学。同じくデザイナーの深澤直人などです。
建築以外では植物生態学者の宮脇昭氏を尊敬しています。