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人気アイドルグループ・キャンディーズの元メンバーで、21日に乳がんのため55歳で亡くなった女優・田中好子(本名小達好子)さんの通夜が24日、東京・港区の青山葬儀所でしめやかに営まれた。キャンディーズでともに歩んだ女優の伊藤蘭(56)、藤村美樹さん(55)、NHKの朝ドラ「ちゅらさん」で共演した女優・国仲涼子(31)ら、生前親交のあった芸能関係者1600人に加え、ファンら800人が参列し、“スーちゃん”との早すぎる別れを惜しんだ。遺影の中で微笑む田中さん。参列者は涙にくれ“微笑がえし”をすることはできなかった。
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つらい。悲しい。何よりウソであってほしい。
多感な10代の時、一緒に苦楽をともにした田中さんの死。キャンディーズで一緒に活動したランちゃんこと伊藤蘭は「あともう1回、3人で会いたい。もっと一緒にいたかった。ずーっとそばにいて、一緒に年を重ねていきたかった」と声を絞り出した。
伊藤はまた「明日、ミキちゃん(藤村美樹さん)と弔辞を読むし、2人で『私たちがメソメソしてちゃダメ。頑張ろうね』と話しました」と藤村さんと泣かない約束をしたことを明かした。
公の場で約33年ぶりにメンバーがそろった。遺影の中の田中さんは2人にそっと微笑む。2人は悲しみに体を震わせながら、来賓として最初に指名焼香。自分たちがしっかりすることが田中さんへの何よりの供養になる。悲しみで目はうつろだったものの、しっかりと祭壇に向き合った。
藤村さんが芸能界を引退しているため、2人を代表して伊藤が取材に応じた。「キャンディーズでは一番年下で、一番甘えん坊だったのに、いつしか一番強くて頼もしい女性になっていた」と故人を偲(しの)んだ。
初めて病気のことを明かされたのは3年前。20年もの間、がんと闘ってきたことも聞かされた。「ただショックだったけど、前向きな彼女の姿に逆に励まされた」と振り返った。
田中さんは死期を悟ったのか、1カ月ほど前に藤村さんとともに病室に呼ばれた。その後は2人で週に1回、見舞った。面会できない時もあったが、会えた時は楽しい会話をして過ごした。
容体が急変し死去した21日にも「家族の一員のようなものだから」と親族とともに最期を看取(みと)った。伊藤は「ひたすら『スーちゃん!』と名前を呼び続けた」という。しかし、田中さんは逝ってしまった。
昨年10月には3人での食事会も企画。「あとは日時を決めるだけ」だったが実現しなかった。あまりにも早すぎる死に、3人でやり残したことが多く残った。
「旅行に一緒に行きたかった。解散直後に行ったきりだったから」。
伊藤は声を震わせた。
(デイリースポーツ提供)
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