浦和−名古屋 前半、浦和の宇賀神(左)と交錯する闘莉王=埼玉スタジアムで
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昨季優勝の名古屋グランパスは敵地で浦和に0−3で完敗し、再開初戦でつまずいた。浦和は田中、原口らが得点を重ね、ペトロビッチ監督就任後初白星。新潟はチョ永哲のPKで先制したが、磐田に追い付かれて引き分け。広島は昨季2位のG大阪に4−1で快勝した。李の先制点を皮切りに、前半に3点を奪って今季初勝利。山形−C大阪は無得点で引き分けた。2試合を終え、2連勝は今季J1復帰の柏だけとなった。
◆浦和3−0名古屋
うっすら微笑さえ浮かべて闘莉王はセンターサークルへ歩を進めた。試合終了の笛に肩を落とすことはなかった。
30歳の誕生日に古巣・埼玉スタジアムへ初凱旋(がいせん)。勝利だけを信じて、かつてのホームに戻ってきた。最初に覚えた違和感はボールを追ううちに消えた。「ビルドアップ(後方からの攻撃の組み立て)もいつもより前に行けたくらい」。ボールを持つたびにわき起こる大ブーイングも心地よく浴びた。幸福な90分だったが、結果だけが伴わなかった。0−3の完敗に「俺の人生は簡単にいかないとあらためて考えさせられた」
相手に奪われた先制点がすべてだった。「1点目をあんな形で取られて集中力が切れてしまった」。闘莉王が前線へ送ったロングボールがはね返され、カウンターを食らったような格好になった。ボールを受けようとした永井が相手DFに引っかけられ、ファウルに見えたがノーホイッスル。前半12分、突然の形勢逆転を防ぎきれなかった。
ハーフタイム、中盤で簡単にボールを失う戦いにストイコビッチ監督が雷を落とした。しかし指揮官の檄(げき)でも、一度傾いた流れを引き戻すことはできなかった。得点を狙って攻めた後半、逆にダメ押しされた。
試合後、闘莉王は穏やかに振り返った。「自分にはもう1回はい上がる力がある。輝かしい名古屋にする自信もある」
J1は1分け1敗と未勝利でスタートダッシュには失敗したが、そんなときこそ闘莉王の出番だ。「うまくいかないときに、みんなの精神状態を前向きに持って行くのが自分の仕事」。昨季、チームに勝利への執念を植え付けてきた闘将に感傷はない。さばさばした表情で前だけを見据えた。 (伊東朋子)
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