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きょうの社説 2011年4月25日
◎統一地方選終了 一極集中の弱点補う気概を
金沢、小松、輪島、珠洲の4市議選と津幡、内灘、志賀、穴水の4町議選の審判が下っ
た。無投票だった川北、野々市の両町長選、両町議選と、統一地方選の前半戦で選出された新県議43人を含めて、地方政治を担う新たな顔ぶれが出そろった。新たな任期は、北陸新幹線の金沢開業の時期と重なる。郷土が大きく飛躍する貴重な4 年間である。この千載一遇のチャンスを確実に生かし、より良い古里を築くために汗をかいてほしい。 東日本大震災では、東京一極集中のリスクが改めて浮き彫りになった。東京だけが繁栄 しても、今回のような大災害があれば、日本全体が立ち行かなくなる。自然災害の多いこの国では、やはり国土の均衡ある発展を目指さないと、国民の安心・安全が保てない。 震災から約1カ月、東北の物流を支えたのは日本海側の鉄道や道路網、港湾設備だった 。万一、東京〜大阪間で大災害が起きたとき、北陸は支援の基地となり、東西をつなぐバイパスになる。私たちの地域が着実に力をつけ、東京一極集中の「弱点」を補っていくという気概を持って、地域振興の先頭に立ってもらいたい。 今回の震災で、新幹線の耐震性の高さがあらためて実証された。東北新幹線は、全列車 が緊急停止し、1人のけが人も出さなかった。北陸新幹線の重要性はますます高まったといえる。 選挙結果を見ると、当初、大震災という非常時ゆえに政党間の対決色がかすむのではな いかと言われたが、県議選で民主党の現職3氏が落選するなど、相当きつい民主への「逆風」が吹いた。 原発事故の処理や被災者支援で、政府与党の対応の遅さと不手際が目立ち、菅直人首相 の指導力不足に国民の不満は募るばかりである。政権与党として、初の統一地方選に臨んだ民主党にとって、結果は極めて厳しかった。 当然ながら、防災や原発の問題は、有権者の関心が高かった。災害に強いまちづくり、 特に東北沿岸部で猛威をふるった津波への備えを一から考え直さねばならない。志賀原発の安全強化策を含めて、大震災の教訓を地域づくりに反映させていく必要がある。
◎対北朝鮮制裁 手詰まりを打開できるか
オバマ米政権が国連の対北朝鮮制裁決議に基づく独自の金融制裁に加えて、北朝鮮から
の輸入を原則として全面禁止する措置を発動した。米国に先立ち、日本政府も今月13日で期限切れとなった禁輸など独自の制裁措置を1年間延長した。米国の追加制裁は、北朝鮮からの輸入が少ないため実質的な効果に乏しいとの見方もなされているが、北朝鮮への圧力を強めて手詰まり状態の核問題の打開をめざす米政府の意思を示すものである。北朝鮮の核をめぐる関係国の協議では、ウラン濃縮問題の取り扱いが焦点になっている 。北朝鮮の砲撃を受けた韓国と米国は国連安全保障理事会で取り上げ、少なくとも非難の議長声明を採択すべきと主張し、日本も支持している。これに対して、中国は北朝鮮への配慮から、6カ国協議の枠内での議論にとどめるべきとして日米韓と対立している。 中国はこれまで、北朝鮮のウラン濃縮計画を「伝聞」にすぎないとみなし、日米韓と距 離を置いてきた。しかし、北朝鮮は今年に入って中国にウラン濃縮活動の説明を行っており、国連安保理の北朝鮮制裁委員会の下に設置された専門家パネルも報告書をまとめている。中国はもはや伝聞などと言い逃れることはできない。 専門家パネルの報告書は、北朝鮮・寧辺のウラン濃縮施設が主に軍事目的であり、寧辺 以外にも秘密の関連施設があることは「ほぼ確実」と指摘しているという。米英仏などは同報告書の公表を求めたが、中国の反対でお蔵入りの状態になっているのは遺憾である。パネル報告を国連報告として公表し、北朝鮮に対する国際的圧力をさらに強めるべきである。 先に開かれた6カ国協議の日韓代表者会議では、北朝鮮にもっと影響力を行使するよう 中国への説得を強めることで一致した。それはよしとしても、現在の日本は内政で手いっぱいであり、今後、国連であれ、6カ国協議であれ、北朝鮮問題に関する国際協議の場で存在感が薄れるのではないかと心配になる。その意味でも米韓との連携強化が重要である。
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