東京電力:石田顧問辞任へ…前エネ庁長官、天下り批判受け

2011年4月19日 2時37分 更新:4月19日 3時15分

 東京電力は18日、前資源エネルギー庁長官の石田徹顧問(58)が4月末で辞任することを決めた。石田氏は6月の株主総会後に副社長に就任する見通しだったが、枝野幸男官房長官が同日、経済産業省幹部職員の電力会社への再就職自粛を求める方針を表明。福島第1原発事故で強い批判にさらされる中、官民の癒着と受け止められかねない人事は避けるべきだと判断した。

 東電首脳によると、石田氏は18日、「一身上の都合」として辞職を申し出た。石田氏は75年、旧通商産業省(現経産省)に入省。昨年8月にエネ庁長官を退官し、今年1月1日付で東電の顧問に就いた。東電は当初、6月の株主総会で石田氏が副社長に就任する人事案の提出を検討しており、実現すれば5人目の経産省(旧通産省を含む)出身副社長になる運びだった。

 しかし福島原発事故で、経産省の外局である原子力安全・保安院が東電の事故対応を指導しきれず、津波対策などの安全規制も不十分だったとの見方が強まった。これに伴い、電力大手が経産省から天下り役員を受け入れている実態が癒着として批判され、国会でも石田氏の天下りが問題化した。枝野官房長官は当初、「(政府が禁じている省庁による)あっせんには該当しない」としていたが、批判の強まりを受け、18日の会見で「疑念を持たれること自体が望ましくない」と方針を転換。経産省も電力会社への再就職自粛を決めた。

 既に退官した石田氏は自粛の対象外だが、東電は6月の株主総会で役員に事故の経営責任を取らせる方針で、石田氏は顧問として残ることも難しいと判断した。【宮崎泰宏】

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