第6条「民法の適用」の解説


趣旨

本法が、過失責任主義に基づく民法の不法行為貫任制度に加えて、新たに欠陥を責任原因とする不法行為責任制度である「製造物責任制度」を導入するものである。

本法は、民法の不法行為責任制度の特則であり、本法に特に定めがない事項については、民法の規定が適用されることを明らかにしている。

 

民法の適用例 過失相殺

過失相殺は、加害者側に全面的に損害賠償責任を負わせることが、公平でない事情が被害者側にある場合に、損害賠償額を減額する制度である。

賠償されるべき損害額を決定する際、被害者の「過失」を考慮する

 

複数の責任主体

次のような場合、複数の責任主体が連帯して賠償責任を負う。

○欠陥のある製品によって損害が生じた場合、完成品と部品の製造 業者のように複数の責任主体が存在する

〇その損害が製造業者以外の行為に起因して発生・拡大して、過失 責任を負う者が存在する

 

免責特約

免責特約の効力についても、民法の不法行為の原則による。

自己の製造物責任につき免責特約を付しても、その効力は直接の取引き相手に及ふだけであり、製造物が引き渡された全ての者に及ばない。

また、事前に加害者の損害賠償貫任を制限又は免除するという主旨の記載が、表示や取扱説明書等にあっても、この特約は公序良俗に反するものとして無効であるとされる場合が多い。少なくとも、人損に関する免責特約については、公序良俗違反を理由に無効となる、

と解される。

 

製造物貴任法の第6条では、この法律の規定によるほか、民法の規定による、とあるから、次に民法の規定との対比を掲載する。

PL法(平成六年法律第八十五号)

民法(明治二十九年法律第八十九号)

(民法の不法行為責任制度の特則である)

 

第一条 目的

第5章 不法行為(一般の不法行為・要件と効果)

第二条 定義/製造物、欠陥、製造業者

第709条 故意または過失責任

第三条 製造物責任

 

第四条 免責事由/開発危険の抗弁

      部品原材料製造業者の抗弁

第719条 共同不法行為(複数の責任主体の関係)

第722条1項 第417条 金銭賠償

第724条2項 過失相殺 

第五条 期間の制限/3年・10年、蓄積被害

第724条 損害賠償請求権の消滅時効/3年・20年

第六条 民法の適用

この法律の規定によるほか、民法の規定による

 

附則  平成七年七月一日施行