東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質で汚染された周辺の農地の土壌改良を検討するのに役立てようと、農林水産省の篠原副大臣や担当者らがウクライナのチェルノブイリ原発近くの農地を訪れ、現地で進められている取り組みを視察しました。
福島第一原発の周辺では、田畑などの農地が放射性物質で汚染され、農林水産省は、農業を続けるための土壌改良が必要になると見て具体的な対策を検討することにしています。こうした状況を受けて、農林水産省の篠原副大臣や担当者らが22日、25年前に深刻な事故を起こしたチェルノブイリ原発から50キロ離れたウクライナ北部のナロジチを訪れました。現地では、日本のNGOの支援で菜種栽培の取り組みが進められていて、一行は、菜種と小麦などの穀物を交互に栽培し、肥料も工夫することで、汚染の少ない穀物を収穫できたとする実験結果について説明を受けました。また、菜種の油から汚染されていないバイオ燃料をつくる装置や油かすを発酵させてガスを取り出す施設を見て回りました。視察のあと、篠原副大臣は「これまでは日本が支援してきたが、今度は学ぶことになり、手を携えてやっていく」と述べ、福島第一原発周辺の土壌改良を進めていくうえで、ウクライナの研究機関などと連携しながらチェルノブイリ事故の経験を参考にしていく考えを示しました。