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福島第1原発、慎重な対応があだに=日米専門家

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 【東京】福島第1原子力発電所の事故では、原子炉1号機の圧力が設計圧の2倍に達していたにもかかわらず蒸気放出が遅れたことが、状況の悪化につながった可能性がある。

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 ウォール・ストリート・ジャーナルの調査で、放射性物質の大気放出に関して日本の原発運営会社が米企業よりもずっと慎重であり、そのため原子炉の過熱でたまった蒸気の放出(ベント)に踏み切るまでに長い手続きと多くの承認が必要とされることがわかった。

 こうした方針が初めて実際に試されたのは、先月11日の地震と津波で同原発が打撃を受けた数時間後だ。12日未明には1号機で事態が深刻化しつつあった。

 同日午前2時半には、格納容器の内部圧力が設計圧の2倍に達していた。対応の遅れや技術的な問題から、この格納容器からパイプ経由で放射性物質を含む水蒸気の放出を完了するまでにさらに12時間を要した。

 約1時間後、建屋が爆発した。日米当局によると、この爆発で放射性物質が原発の外に拡散したという。

 日米の専門家は、ベントの遅れが爆発につながった状況の一因となった可能性があるとみている。圧力があまりに高くなったために、通気装置のガスケットなどが損壊し、そこから炉心の水素が建屋にもれたシナリオも考えられるという。専門家らは、事故を悪化させた要因が、深刻な放射能汚染を恐れるが故のベントに対する日本の慎重なアプローチだったと語った。

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