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【サッカー】

仙台 執念の逆転勝利届けた

2011年4月24日 紙面から

◆J1第7節第1日 仙台2-1川崎

決勝ゴールを決め、チームメートと喜ぶ仙台・鎌田(右から2人目)=等々力で(潟沼義樹撮影)

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 被災地へ執念の白星−。東日本大震災で中断していたJリーグは23日、各地で約1カ月半ぶりに再開した。震災で大きな被害を受けた仙台をホームとするJ1仙台はアウェーで川崎と対戦し、2−1で逆転勝ちを収めた。前半に失点したものの、後半28分にMF太田が同点弾。さらに同42分にセットプレーからDF鎌田がヘディングで勝ち越し点を奪った。復興へと歩み始めた地元・仙台に、希望の勝利を届けた。

 試合中に、横殴りに降り続けていた激しい雨が上がったころ、アウェー席を歓喜の歌声が包み込んだ。スタンドに向かいあいさつする仙台イレブンと、喜びの涙を流すサポーターたちが一体となる。チームカラーの黄色が水たまりに映えると、競技場全体がまぶしく輝きを放っていた。

 忌まわしき日から43日目。被災地・仙台をホームとするベガルタの劇的な逆転勝ちは、「被災者」が何としても「復興」を目指すために示した巨大なエネルギーにほかならない。震災ショックで退団してしまった点取り屋のマルキーニョス、膝の故障で離脱したFW柳沢を欠く苦境の中でも、エネルギーを示したのは選手自身だった。

 前半からMF関口、太田、FW赤嶺の前線陣が激しくプレスをかける。次々に獲得するCKとFK。名手・梁のキックから好機を何度もつくる。ただワンチャンスを狙われ前半37分に失点。GK林の股間(こかん)を転がされる−。

 後半開始前、関口の声がピッチ上の円陣で響いた。「勝って仙台に帰ろうぜ!」。序盤に見せたハイパワーで体力を失っていたが、気迫で走りだした。後半28分、太田が倒れながら同点弾。足をつり、タンカで運び出されてそのまま交代を余儀なくされたが、「つぶれるまで行こうと思い、本当につぶれてしまった。恥ずかしいけどみんなで押し込んだゴール」と太田。そして磐田から移籍2年目での仙台初ゴールで続いたのはDF鎌田だ。後半42分、梁の右CKにドンぴしゃで頭を合わせた。

 振り返れば、激しい揺れの後にライフラインがすべて止まった3・11。練習直後の仙台イレブンが地元を襲った被災状況を初めて知ったのは、それぞれの愛車のカーテレビだった。「まさか津波の被害とか、あんなことがあったなんて…」と関口。甚大な被害に言葉を失った。だが同時に、生活を取り戻さないといけないという覚悟も決めた。だから1勝ではまだ泣けない。関口は言う。「まだ涙を流す時ではない。優勝争いをして、シーズン後に良い結果が出た時に…」 (上條憲也)

 

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