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【グラニュース】


因縁の地・埼スタに燃える

2011年4月24日 紙面から

 東日本大震災の影響で中断していたJリーグが23日、再開。J1連覇を目指す名古屋グランパスは、24日の浦和戦(埼玉スタジアム)で再スタートを切る。くしくも同日はDF闘莉王の30歳の誕生日。愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターでの前日練習後には、初めて乗り込むかつてのホームに特別な思いを明かしながら、恩返しではなく、勝つためにプレーすることを強調した。またドラガン・ストイコビッチ監督(46)は、ユーゴスラビア代表時代の同僚である敵将、ペトロビッチ監督(45)に神経戦を仕掛けた。

 いろんな思いが駆けめぐる。あまりの偶然に「重なり過ぎでしょ」と闘莉王が小さく笑った。

 東日本大震災による1カ月以上の中断。再開第1戦が30歳の誕生日で、2009年まで在籍した浦和のホームに初めて登場する日にもなる。

 「大きく育ててもらった場所だし、オレにとって浦和はずっと忘れられないチームだと思う。特別な気持ちがないと言ったらウソになる」

 移籍した昨年は、ホームの浦和戦(8月14日・豊田)ではゴールを決めているが、埼玉スタジアムでの試合(5月5日)は出場停止だった。歯がゆい思いは、この日のためにあったと思えるような舞台が用意されていた。

 広島でプロ入りしJ2水戸へ。そこで活躍して、浦和から声が掛かった。04年から6年間。日本代表への道が開け、J1だけでなく、アジア王者も経験した。グランパスのユニホームを着て初めて、思い出の詰まったピッチに立つ。強烈なブーイングを覚悟し「あのユニホームを見たら、やりにくいかもしれない」。さまざまなイメージが浮かんで、普通の感情ではいられない。

 それでも、ピッチに立ったときは、強く心に決めている。

 「ゴールとか、いいプレーで恩返しという形にするつもりは全くない。オレは今、名古屋の選手。チームが勝つためにプレーをするだけだ」

 あの3月11日、グランパスは仙台戦(12日)のため新幹線で移動中に、地震が起きた。紙一重の運命と想像を絶する被害。「サッカーをしている場合じゃない」。もっとも過敏に反応した1人が闘莉王だった。長く日の丸を誇りにして戦った自負は、日本の危機的状況に力を貸せないやるせなさに打ち砕かれた。

 「サッカー選手としてだけでなく、人として考えさせられることが多かった」

 もう闘う男はよみがえっている。中断期間中に行われたアジア・チャンピオンズリーグで2連勝。19日には敵地でFCソウルを2−0で破った。

 「いい勝ち方ができたから、このまま乗っていけたらいい。優勝した後は難しいけど、いい流れになってきたからね」

 因縁に彩られたビッグマッチで、闘莉王はただ勝利のために戦う。 (木本邦彦)

 

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