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ハの字型堤防、津波の集中招く 岩手・大槌、東大調査

2011年4月24日0時40分

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図:大槌町の地図拡大大槌町の地図

 東日本大震災で大きな津波被害にあった岩手県大槌町で、堤防が津波の力を集中させる形状になっていたことが東京大の調査で分かった。津波の力が集中する部分で堤防が決壊して、街に津波が流れ込んだ。

 東京大の佐藤愼司教授(社会基盤学)らは、現地調査や空中写真、地図などをもとに分析した。津波は湾の奥のように狭まった部分で高さを増す。大槌町では、堤防が川の上流に向かって急に狭まる形状になっていた。

 大槌湾に到達した津波は「ハ」の字状の堤防に沿って大槌川をさかのぼり、両岸の堤防の幅が急に狭くなった部分で、堤防を決壊させた。ここでは津波は高さ13メートル近かったと見られる。街に流れ込んだ津波は、JR山田線の線路を押し流し、町役場や住宅地に流れ込んだ。

 堤防が決壊した内側は、1933年の昭和三陸地震でも津波に襲われた場所。佐藤教授が当時の資料などを調べると、今後も津波による浸水の可能性がある「緩衝地帯」とされていた。その後、今回の津波で決壊した堤防が造られ、内側は農地から市街地に変わっていった。

 佐藤教授は「これまでの河川堤防は洪水を防ぐことを主な目的としてきたが、これからは、特に河口付近は津波の特性も考えて点検をしていく必要がある」と話した。(竹石涼子)

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