約300人が避難生活を続ける岩沼市市民会館。ミッキーのシルエットが描かれたバスが到着し扉が開くと、中からミッキーが大きく手を振りながら、はじけ飛ぶように走り出てきた。続いてミニー、ドナルドダック、グーフィー、プルートの順に姿を現し、子どもたちからは喜びの声が、大人からはもっと大きな歓声が上がった。
5体は音楽に合わせダンス。さらに大人子ども問わず握手したり、抱きついたり、写真に収まったりと大忙しだった。
偶然、ミニーが描かれたTシャツを着ていた刈谷捺美さん(9)は「初めてミニーに会えた。ビックリしたけどすごく嬉しかった」と声を弾ませた。乳児を抱きかかえた女性は「私の方が感動してしまって、涙が出そうになりました」と笑顔をみせた。
ミッキーらは続けて亘理町立逢隈(おおくま)小学校、山元町中央公民館、名取市立館腰小学校を訪問。さらに24日も宮城県内3カ所を慰問する予定で、子どもたちに文房具セット計700組をプレゼントする。
一方、営業を再開した松島水族館では、震災時にはまだ卵だったケープペンギンの赤ちゃんがお披露目された。今月2日に誕生したばかりで、体長約20センチで灰色のふわふわした産毛に覆われる。
父親と訪れていた仙台市の小学1年、高橋紗織さん(6)は「かわいくて柔らかそうだった。地震に負けないでくれてうれしい」。
水族館は津波で1階が1メートル以上浸水。ビーバー3頭、マンボウ1匹、クラゲ65匹、保護していた小型クジラのコマッコウが死んだが、加茂水族館(山形)や海遊館(大阪)などからクラゲや熱帯魚の提供を受けて再開にこぎ着けた。27日までは入館料半額(大人700円、小中学生350円)で、被災者は無料。
八木山動物公園は午前9時ごろオープン。遠藤源一郎園長が「動物は安らぎと元気を与えてくれる」とあいさつすると、雨の中、訪れた家族連れから拍手が上がった。
震災直後は物流の遮断などで餌が不足。カバが体調を崩すなどしたが、全国22の動物園・水族館から餌などの支援が寄せられ、当面の必要量が確保できたという。24日までは入園料が無料になる。
(紙面から)