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きょうのコラム「時鐘」 2011年4月24日
収まったかな、と思うころに強い余震が起きる。M5以上で400回以上、かつてない記録だという
地震の大きさが「○」で表記されることがある。分かりやすいが、新しいアイデアではなく昔からある方法だ。震度計のない時代は人間の体感で、大きな地震は大きな「○」に、それより小規模なら小さな「○」で余震を表記した 北陸にも被害をもたらした江戸末期、安政の大地震の記録がある。大小の「○」印が縦に並び横に日時が書き込まれて余震がどのくらい続いたか分かる。歴史的には3カ月も余震が続いた例が多いというから、まだ要注意である 向田邦子さんのエッセーに、戦時中に学童疎開した妹から「○」だけを描いたハガキが届く話がある。日に日に「○」は小さくなって、幼い妹が元気をなくしていく様子が手に取るように分かり、父親が泣き崩れる切ない話だった 今、戦時中でもないのに「学童疎開」の言葉が復活している。21世紀になっても地震の「○」印におびえる日が続いている。だが、戦争も余震も必ず終わる日がある。マル印本来の、まぁるくて穏やかな日を取り戻したい。 |