義援金募金箱の盗難26件、遊ぶ金や生活費ほしさ
東日本大震災の被災者支援のため、スーパーやコンビニなどに置かれた募金箱が盗まれる事件が後を絶たない。九州・山口、沖縄では6日夜までに26件発生し、10件で容疑者が逮捕されたり、盗んだ少年が児童相談所に通告されたりした。善意のお金なのに、「遊ぶ金がほしかった」などの身勝手な動機が目立ち、識者は「募金箱を固定しては」と提案している。
長崎県大村市のコンビニでは3月26日、1万6000円が入っていたとみられる募金箱が盗まれた。県警が逮捕したのは、飲食店アルバイトと無職の男(いずれも22歳)、少年(19)の3人。「被災者支援のお金と知っていたが、1万円札が見えたので盗もうと思った。遊ぶ金がほしかった」などと供述。実際にパチンコなどに使ったという。
山口県宇部市のコンビニで約3000円入りの募金箱を盗んだとして、同県警に逮捕された無職男(40)は「義援金と知っていた。生活費に困ってやった」と話し、反省の言葉も述べていないという。
福岡県警が児童相談所に通告した小6の男児2人(いずれも11歳)と中2の男子生徒(13)は、「お金が入った箱があったから盗んだだけ」と説明。義援金と知らず、警察官が意味を教えたところ、「大変なことをしてしまった。ごめんなさい」などと謝ったという。
福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)は「募金箱は目立つ場所に置かれており、刺激しやすいのだろう。義援金を募る人たちも『善意のお金だから』と警戒心を緩めず、募金箱を固定したり、店員がきちんと監視できる場所に置いたりしてはどうか」と話している。
(2011年4月7日 読売新聞)