人工地震で三宅島ー神津島間の海底下構造をさぐる


6月26日の三宅島の火山活動を契機に始まった三宅島、神津島、 新島近海下の地震活動はその規模は縮小しつつも5ヶ月を過ぎた今なお活動は続いています(12月6日現在)。

独立行政法人海洋研究開発機構、海上保安庁水路部、地質調査所、名古屋大学、国土地理院、気象庁、 防災科学技術研究所、および東京大学地震研究所は今回地震活動が活発であった三宅島周辺の海底下構造などに関して、 緊急課題と位置づけ共同研究を始めています。私たち、独立行政法人海洋研究開発機構では、 海洋調査船「かいよう」の自己浮上式海底地震計を用いた屈折法による広域深部構造探査と、 「かいれい」に搭載しているマルチチャンネル反射法探査システムを用いた構造探査を実施しました (それぞれ、10月26日〜11月5日および11月21日〜11月27日、側線は図2参照)。 この海域での海底下構造の詳細は明らかになっておらず、 今回の自己浮上型海底地震計を用いた屈折法により求められる速度構造を震源決定に用いれば、 より精度の高い震源が求められることが可能となります。また、 最も地震活動の活発である神津島東方海域を中心にして行ったマルチチャンネル探査により、 深さ5km程度までに貫入したマグマがあればその深さ、形状を含めた海底下の地質構造を3次元的に推定できます。 実際、これまでの解析結果においても、神津島、新島間において、深さ4−5km程度のところに地震波の反射面がみられており、 火山活動との関連性を示唆するものとして、今後慎重に解析を進める予定です。また、 12月6日から13日まで海洋調査船「よこすか」のディープトゥサイドスキャンソナーにより、神津島、 新島沖海域の微細海底地殻変動を観察、あるいは船上から海底岩石を採取するといった調査を実施し、 海底火山の分布あるいはその活動期や活動頻度を明らかにしていきます。
このような一連の研究を統合すれば海底下深部からのマグマ供給システムと地殻浅部でのマグマ溜まりの分布およびそれらマグマ活動がおよぼした微細海底地殻変動の総合的な理解が深められることが期待されます。
(深海研究部 海底下深部構造フロンティア)
>>BACK