福島第1原発事故で、東京電力は23日、2号機のタービン建屋や立て坑にたまった高濃度の放射性物質を含む水の移送を続けた。ただ、これまでの移送量は計画する1万トンの10分の1以下で、5月半ばの終了まで長い道のりが残る。
被ばく線量が緊急時の上限の100ミリシーベルトを超えた作業員が1人増え、23日現在で30人になったことも判明。汚染水処理だけでなく、作業の長期化が確実で、作業員の被ばく線量が今後も増えることが予想される。
東電は「200ミリシーベルトに近づいた場合は線量が高い作業から外す」としており、最高の約198ミリシーベルトを浴びた作業員は既に現場から外れたという。厚生労働省は今回の事故対策に限り上限を250ミリシーベルトに引き上げている。
2号機の立て坑などには炉心から漏れた水が流れ込み、推定で計2万5千トンの高濃度汚染水がある。東電は海に流出しないよう19日からポンプで毎時10トンをくみ上げ、ホースで集中廃棄物処理施設に移送。23日午前7時までの移送量は推定約930トン。19日の移送開始から、同施設の水位は約50センチ上昇した。ポンプは今後増設する。
東電は移送した汚染水を浄化して炉心冷却に再利用する方針。水に含まれる放射性物質や塩分を減らす処理施設を設置し、6月に運用を始めることを計画している。