原子力緊急事態宣言

東北地方太平洋沖地震で、緊急停止した福島第一原発では、原子炉を安全に冷やすことができず、きわめて深刻な事態が続いています。第一原発の1号炉は炉心が溶融し、燃料棒被覆管に使われているジルコニウムと水が反応して発生した水素が漏れ出して、12日に爆発し、原子炉建屋が破壊されました。爆発映像

3号炉でも14日に水素爆発が起こりました。3号炉ではMOX燃料(プルトニウム混合燃料)も使われており、漏れ出す放射能は1号炉よりも危険性はさらに大きくなります。

さらには、15日に定期検査中で止まっていた4号炉の使用済み燃料プールでも、水素爆発と火災が起こりました。その後、建屋に大きな穴が確認されています。使用済み燃料プールは格納容器の外、建屋の5階にあり、放射能の量が多いことから、建屋の穴からの漏洩は大きな問題です。

最悪の事態は、原子炉や使用済み燃料プールの冷却ができずに燃料が溶融して水蒸気爆発につながり、放射能がばら撒かれることです。1号炉の燃料は70%、2号炉は30%既に損傷しているとされています(3号炉は不明)。爆発しなくても、格納容器や建屋が損傷したため、今後しばらくの間、放射能の漏洩は避けられません。

約120km北にある東北電力女川原発で13日午前1時50分に21マイクロシーベルト(通常の約400倍)の放射線を観測しています。15日には首都圏でも測定されました。遠方まで放射性ガスは流れています。放射能拡散シミュレーション(ドイツ・シュピーゲル誌) (仏放射線防護・原子力安全研究所)

原子力災害対策特別措置法に基づく原子力災害緊急事態宣言が発出されています。避難指示が出ていますが、その外でも可能であれば屋内退避や避難を考えるべきです。雨や雪に濡れないことも大切です。

福島第一原発 福島第二原発
3月11日 14:46 地震発生
直後 稼動中の1〜3号炉緊急停止 14:48 稼動中の1〜4号炉緊急停止
15:42 東電、国に通報義務事態(1〜3号炉交流電源喪失)発生を通報
16:45 東電、国に緊急事態(15条)発生(1、2号炉)を通報 18:08 東電、国に通報義務の事態(10条)発生を通報
19:03 国、緊急事態宣言
「現時点では直ちに特別な行動を起こす必要はない」
20:50 福島県、半径2km以内に避難指示
21:23 国、3km以内に避難、10km以内に屋内退避を指示
12日
5:44
10km以内に避難指示 12日
5:22
東電、国に緊急事態(15条)発生を通報
11:00 正門付近の放射能:6.7μSV/h(4:00測定の0.07μSV/hの96倍) 7:45 緊急事態宣言
半径3km以内に避難、10km以内に屋内退避を指示
15:29 正門付近の放射能:1015μSV/h(4:00測定の0.07μSV/hの14500倍) 12:15 3号炉、冷温停止
15:36 1号炉で水素爆発 原子炉建屋上部が骨組みだけに  17:39 10km以内に避難指示
18:25 20km以内に避難指示拡大
13日
05:10
3号炉でも冷却機能喪失で、緊急事態(15条)発生
14日
11:01
3号炉で水素爆発 原子炉建屋が大破 14日
17:00
1号炉、冷温停止
13:25 2号炉冷却機能喪失で、緊急事態(15条)発生 18:00 2号炉、冷温停止
15日
06:14
4号炉で水素爆発
使用済み燃料プールの加熱による水素が原因か
2号炉でも水素爆発?により格納容器(圧力抑制室)損傷
15日
07:15
4号炉、冷温停止
この状態が維持できれば、第二原発は問題なし
09:38 4号炉原子炉建屋から出火 多量の放射能放出
11:00 20〜30km圏内に屋内退避指示
25日 20〜30km圏内に自主避難を要請

第二原発のモニターの値は見ることができましたが、更新されなくなりました。第二原発は危機的状況は脱したようです。

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この頁の情報は最新のものではありません。避難の指示等は自治体の情報を確認してください。

新潟中越沖地震にみる原発防災

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