2011年4月23日5時2分
栃木県鹿沼市で18日朝、登校中の小学生の列にクレーン車が突っ込み、6人が死亡した事故で、自動車運転過失致死の疑いで送検された柴田将人容疑者(26)=同県日光市=の母親が、勤務先の重機会社に対して「持病を隠していた」と謝罪の手紙を送っていたことが22日、分かった。
同社の副社長(67)と専務(37)が手紙を公開した。捜査関係者によると、柴田容疑者はてんかんの持病があり、県警は今回の事故に何らかの影響を及ぼしたとみている。
母親は手紙で「持病、(3年前にも登校中の児童をはねる事故を起こして)執行猶予中の身である事などを隠したまま面接を受け働かせて頂いておりました」と明かし、「その結果大変ご迷惑をおかけする事になってしまいました。本当に申し訳ありません」と謝罪した。
また、「いつも心苦しく思っていたのですが、喜んで働かせて頂いている姿に本当の事を話せずにおりました」と心中を記し、「一生かけて償いたく思います。どうぞお許しください」と記している。
副社長によると、手紙は21日に届けられた。電話で公開することの了承を得たという。
副社長は「本当のことを伝えていただいてよかった」としつつも、「(持病について知っていれば)薬の飲み忘れがないよう注意できた。過去に事故を起こしたことがあるのであれば職務には就けなかった。クレーン車に乗らなければ、子どもの命がなくならなかったと思う」と語った。
◇
6人が死亡した交通事故を受け、日本てんかん協会は21日に声明を発表している。運転手が病気を申告せずに免許を取得し薬で発作も抑制していなかった場合には、「社会的責任が欠如していると言わざるを得ない」と指摘した。