東日本大震災のため開幕の1試合だけで中断していたJリーグが23日、川崎−仙台(等々力)鹿島−横浜M(国立)などで再スタートする。名古屋グランパスは24日の浦和戦(埼玉)が再開初戦。22日は愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで攻撃メニューを中心に約1時間半、練習した。国内初のアウェー登場となるルーキー、FW永井謙佑(22)は、浦和が用意する警戒網にびくともせずにスピード勝負を貫く。
厳しい条件が重なっても、永井は動じる気配さえない。「アウェーと言われても、気にならないんですよ。プレーしているとき、スタンドの声はあんまり耳に入ってこないから」
音をさえぎるほどの快足でならすストライカーは、予想される敵地での大観衆にも平然としていた。
3月5日のJ1開幕戦(対横浜M=豊田ス)でロスタイムの同点PKを誘発するドリブル。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)では、FCソウル戦で2試合ともゴールを決めた。その脅威にJ1各クラブは警戒レベルを引き上げ、浦和は、永井包囲網を徹底する。それでも永井は「僕のやることは変わらないので」と、小細工なしで、真っ向勝負を挑む。
この日は、右太もも裏を痛めていたケネディが復帰して3トップで戦術練習。永井は左サイドに入り、サイドバックが攻撃参加できるようにスペースを空ける前線の動きを繰り返し確認した。左DF阿部は「(永井は)そういう意識を持つのは大切だけど、まずは自分の特長を出すことを考えてくれればいい」と、周囲に気兼ねなく、自分で仕掛けることを後押しした。
分かっていても止められないスピードはACLで証明済み。FCソウルとのホーム戦(6日)ではDFからボールを奪ってゴール。19日の第2戦で、FCソウルは警戒を強めていたにもかかわらず、バックパスをかすめ取るようにゴール。浦和戦で視察予定のザッケローニ日本代表監督の前で、イタリア人もビックリの速攻と抜け目のないプレーを見せつける。 (木本邦彦)
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