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元キャンディーズのメンバーで女優の田中好子さんの死去から一夜明けた22日、生前、親交の深かった歌手・岩崎宏美(52)が、デイリースポーツの取材に応じた。田中さんとはプライベートで一緒に食事やコンサートなどに出掛け、よき相談相手でもあった。ただ、病気のことは一切知らされていなかったため、岩崎は突然の悲報にショックで言葉を失い、涙が止まらなかったという。
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まさかの悲報だった。「スーちゃん」「宏美ちゃん」と呼び合ってきたが、92年から続いていた田中さんのがん闘病は知らされていなかった。「ショックで声も出ませんでした」。関係者からの連絡で打ちひしがれた岩崎は、一夜明けたこの日も、大切な友の死を信じられない様子だった。
同時代を人気アイドルとしてともに歩んだ。田中さんが3歳年上だったが、東京の下町育ち同士でもあり、ウマがあった。78年のキャンディーズ解散後、田中さんが80年に芸能界復帰したころから特に親交は深くなった。「プライベートでよく会いました。片岡鶴太郎さんから一緒に墨彩画を習っていました」。時間があれば食事に誘い合い、米国人歌手ドナ・サマーのコンサートも一緒に行った。岩崎の公演は毎回、田中さんが自身でチケットを手配し、来場していたという。
09年5月、田中さん主演ドラマ「嫁の座」(フジテレビ)での共演は忘れられない。田中さんの女優転身後は、ともに仕事をする機会は少なかった。それだけに、田中さんから親友役として、「一緒に出てよ!」と強く誘われた同作は印象的だ。「あの時『やや体調が悪い』と言っていたのですが、すでにがんが発症していたとは。私はまったく気が付きませんでした」。いま思い返せば闘病のせいだった。「髪の毛もウイッグを使用していたので、治療の影響もあったのかもしれません」とうつむいた。
最後に会ったのは昨年10月だった。田中さんの都内の自宅前を通った際に偶然、顔を合わせた。「オーストラリアに行くので、宏美ちゃんのコンサートに行けなくなっちゃった」。これが最後に交わした言葉だった。「いろいろ語り合ったこともたくさん思い出します。今は心よりご冥福をお祈りいたします」。岩崎の脳裏には、わずか半年前の笑顔がまだ焼き付いて離れない。
(デイリースポーツ提供)
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