「驚きました」
大会を振り返っての当人のコメント以上に、観る者が驚かされ、演技にわくわくした。先日の四大陸選手権で、大会史上、男子シングルでは最年少で銀メダルを獲得した羽生結弦である。
「今年は挑戦の年です。どれくらいシニアで通用するか」
シーズン開幕前、抱負をこのように語っていたが、自身でも予想以上の手ごたえを得た年となったのではないか。
16歳の羽生は、昨シーズン、ジュニアグランプリ(GP)ファイナルで小塚崇彦以来2人目、世界ジュニア選手権では高橋大輔、織田信成、小塚に続く4人目の優勝を遂げ、今シーズンからシニア参戦を果たした。デビュー戦となったNHK杯で4位と上々の滑り出しを見せた羽生は、ロシアでのGPこそ7位にとどまったものの全日本選手権で4位と健闘し、四大陸選手権で表彰台に上ったのである。
今後、体の成長が柔軟性などにどんな影響を及ぼすか。
残した成績はむろんだが、シニアの舞台でも際立った個性を持つことを示したところに、将来性を感じさせる。図抜けた柔軟性をいかし、女子の技といってよいビールマンスピンを取り入れるなどしたプログラムは異彩を放つ。華のある演技力で、国内のみならず海外でも観客の目をひいた。
柔軟性ばかりではない。羽生は四大陸選手権出場選手の中でただ一人、4回転ジャンプを成功させた。男子では十分な筋力をつけて習得するケースが多いのに、ほっそりした体型にもかかわらず成功させたのは驚きに値する。
課題もある。フリーの演技時間はジュニア時代と比べ30秒長いが、スタミナ面で対応し切れていないように見受けられる。また、16歳ということもあって、これからも体は成長するだろう。その変化が柔軟性などにどう影響をおよぼすか。
こうした課題はあっても、十分以上に存在感と可能性を示した活躍は、近年、好成績を残してきた日本男子の次代の担い手が現れたことを告げるものであった。
羽生は残念ながら、今月下旬に開幕する世界選手権には出ることができないが、同じ16歳の村上佳菜子が出場する。
ジャンプを武器に台頭する選手の多かった日本の女子で、豊かな表現力で急成長を遂げる村上が羽生に続くか、楽しみなところだ。
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