男子優勝は間違いなくチャンと日本人3人で争われる。
本来ならば、東京で自国の観衆の応援を受けながら試合に挑むはずだった高橋大輔、小塚崇彦、織田信成の3人が、どのような精神状態、コンディショニングでモスクワにやってくるのか。この非常事態に、どこまで集中してトレーニングをしてこられたのだろうか。
今の日本に、明るいニュースをもたらしたい。
彼らは3人とも間違いなく、そう考えているだろう。その思いがモチベーションとして心を引き上げるか、あるいはプレッシャーとなって足を引っ張るか。いずれも能力ではそれぞれ甲乙をつけがたいほど実力のある選手が揃った。あとは、各自の心の強さが問われるときだ。
いずれにしても優勝は、日本選手3人とチャンの間で競われることになるだろう。プレッシャーで誰かが崩れたとすれば、欧州チャンピオンのフロレン・アモディオ、ブライアン・ジュベールらが表彰台に割り込んでくる可能性もある。冒頭でチャンが語ったように、本来ならばもうオフシーズンに入っていたこの時期まで、体力、精神力を維持してコンディショニングをうまくやりとげた選手が勝つ。それが誰になるかは蓋を開けてみるまで予想がつかない。
昨年3月から隠遁するかのようにメディアに出なくなったキム・ヨナ。
女子では、もっとも気になるのが言わずと知れたキム・ヨナの状況である。
昨年3月のトリノ世界選手権を最後に、キムは競技生活から休養をとっていた。アイスショーなどの活動を除くと、まるで隠遁生活のように一般社会に顔を見せなくなった。いったいどのような状態でトレーニングをしているのか、ほとんど情報がはいってこない。
「相変わらず男子みたいな大きな3回転を跳んでいました。彼女が跳ぶと、あまりにも楽々と跳ぶからまるで2回転みたいに見えるの」
最近まで彼女と同じカリフォルニアのリンクでトレーニングをしていたというある選手が、そう語ってくれた。
だが選手にとって、試合慣れというのは大切なコンディショニングの一環である。しばらく間があくと、地方大会など小さな試合に出てから大舞台に挑むというのはどんなベテランでも普通にやることだ。1年以上の期間をあけていきなり世界選手権に挑むキム・ヨナが、どのような演技を本番で見せるのか、これもまた予想がつかない。
世界チャンピオンとしてタイトルを守る立場の浅田真央は、今季から佐藤信夫コーチのもとで新スタートをきり、心機一転して技術修正に励んできた。通常フィギュアスケートの世界では、コーチを移って技術を修正すると試合で結果を出すのに2年かかるといわれている。浅田はGPシリーズこそ不調だったが、全日本選手権、四大陸選手権と徐々に調子を上げてきた。そんな彼女にとって、1カ月余分にトレーニングできたことは大きなメリットになったのではないだろうか。
<次ページへ続く>
フィギュアスケート特報 バックナンバー
- GPファイナルでは「金」も獲れたはず!? フィギュア日本男子陣の大きな課題。 2010年12月13日
- 女子フィギュア表彰台の3つの涙と、 浅田真央が実現したひとつの夢。 2010年2月26日
- プルシェンコの連覇を妨害した!? 米国人ジャッジ、疑惑のEメール。 ~五輪でのロビー活動の真実~ 2010年2月25日
その他スポーツ ニュース
スエマエは準々決勝敗退 バドミントンのアジア選手権
2011年4月23日(土)0時33分 - 共同通信
バドミントンのアジア選手権は22日、中国の成都で行われ、女子ダブルス準々決勝で前田美順、末綱聡子組(ルネサスSKY)は韓国ペアに敗れた。男子シングルス準々決勝で佐々木翔(トナミ運輸)は2008年北京…記事全文
その他スポーツ コラム
-
[Number on Number]
驚愕の新人、渡嘉敷来夢。~女子バスケ期待の万能型選手~ -
[NumberEYES]
開催中止に日程変更でどうなる? 春のクラシック。~3歳牡馬は大混戦のまま皐月賞へ~ -
[SCORE CARD]
高校選抜大会の開催を、後押しした一通のメール。~高体連テニス部長に聞くその背景~