関門通信

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新北九州空港開港

[新空港解題] その立場と役割、可能性・3
集客施設としての新北九州空港

ここでは前文と全く違った見方として、空港を駅と同じように集客施設として考えたいと思います。羽田や中部国際空港では乗り継ぎ客を見越した物販施設や温浴施設など、空港自体がくつろげる空間として整備されています。

新北九州空港では、利用客予測が現実のものとなるか否かという点で投資に二の足を踏んでいる部分もあるのでしょうが、空港を利用してもらうのではなく、空港に来てもらうための魅力的施設を作ってみるのも良いと考えます。

新北九州空港がどの空港よりアドバンテージのある面は、なにも海上空港だとか地理条件というところではなく、「土地が安く、周辺に順次増え続けること」に他ならないと考えます。

福岡空港が拡張できない理由やいわゆる「成田問題」は、全て土地に介在する問題です。新北九州空港は関門海峡に堆積する土砂の浚渫によってほぼ無尽蔵に増え続ける砂を処分埋立する、その埋立事業のために空港・物流用地を安く生み出してくれるという、まさに金の卵を持っています。

かつて神戸ではディベロッパー自治体という異名を取るまでの土地埋立・分譲を推進しました。それは六甲山を住宅建設を兼ねて削り取り、瀬戸内海を埋め立てるという大規模なもので、これがために神戸市は巨大な債務を抱えることとなりました。

北九州市の場合、出てくる土砂自体は関門海峡通行に欠かせないため国が実行する部分です。それを埋めていくのですから、前者に比べ極めて安上がりな土地です。この部分は最近できた各海上空港に対するアドバンテージのひとつですね。

折角安い土地があるのですから、これを「空港拡張用地」なんて口幅ったいもので放置しておくのではなく、短期~中期の視点でどんどん活用してみてはいかがでしょうか。現時点で新北九州空港に付随する魅力的な施設としては、最低限の物販・飲食施設しか開設されないようです。

将来的には新千歳空港クラスのターミナル内物販施設を整備することも良いでしょうが、いっそのこと、敷地内に10年償還型のショッピングモールを誘致してみるなど、ひと攻勢かけてもバチは当たらないでしょう。

市民の心理的距離が縮まれば、前述した実際の利便性が多少劣っても利用客は増えます。門司港や湯布院、大平村の地ビール工房が出張所を設けて地ビール対決をやる、なんてアイデアが現実化すれば素敵ですね。

なにもトランジットツアー(空港乗り換え客を想定したミニツアー)をやれとはここでは言いません。しかし空港にはありがちな待ち時間をどう過ごさせるか、といったところに配慮が施されている空港はそうありません。ここに主眼を置き便利な空港・楽しめる空港を目指していくことも必要な「プロモーション」ではないでしょうか。

新千歳空港そばのアウトレットモール・レラの開業とともに注目されている、空港前集客はせっかくの土地を活用するための重要な示唆になると思います。

買い物や温浴施設などとともに展示系施設があると、来客層にさらなる広がりがもてます。事前報道などで挙げられた「竜巻博士」藤田哲也氏の記念館や松本零士氏の資料館が併設されれば、飛行機出発までの待ち時間を退屈させることなく好印象を与えることもできます。

私個人の意見としては、ダウンバースト現象とその探知レーダー開発に尽力した藤田氏の記念館は、空港を世界にアピールするために必須不可欠と考えます。空の安全に尽力した藤田氏の記念館として、空港はもっとも格好な場所ではないでしょうか。(参考:たつまき博士の研究室

そこに行けば、なにか楽しいことがある。そう期待させる空港ができれば、街は大きく変わります。新北九州空港と空港島は九州でそうさせるだけのポテンシャルを十分に持っていると思いますし、大きな可能性に満ちた場所です。

次世代のエンターテイメントに挑戦するこのインキュベータ(ふ化器)を試していく使命が、それを利用する私たちに課せられているのだと提言し、この文を結びます。

編)新北九州空港開港にあたって、識者に寄稿を願いました。

庵田 綏宇(いおた すいう)
工学修士。近代地域史学・産業考古学専攻。
http://www.geocities.jp/iota_titanus/

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