北九州地域の新たな玄関口として新北九州空港が開港する運びとなりました。まずはこの事実を歓迎したいと思います。なにせ現在の北九州空港というものは、霧が多い、便数少ない、滑走路短いの三重苦な空港でしたから、それよりは「まとも」な空港になることと期待しています。なによりも騒音問題が限りなく少ない海上空港というのは相当なアドバンテージでしょう。それにかける期待は、なにも北九州市ばかりではなかったようです。
読売新聞西部本社が連載した「ものがたり新北九州空港」(2002年1月17日~24日)の中で、この新しい空港は構想時、西日本国際空港として位置づけられたとあります。その後、名称や位置づけが変わりながらもいよいよ開港にまでこぎ着けることができました。国土交通省・旧運輸省サイドの悲願成就ということもできますし、地元政財界の底力が発揮された結果とも言えます。
かつて政府の国土開発方針が太平洋ベルトに注視されていたとき、北九州市はその最西端の中心都市と考えられていました。四大工業地帯という言葉が現実のものだった時期ですね。九州というブロックではなく、中四国を合わせた西日本ブロックの中心都市、その玄関口として構想されたのが新北九州空港の原型、つまり西日本国際空港だったのです。
この当時、国による位置づけが有利であったため、北九州市では他都市に比べ優先的にインフラの整備が進みました。その当時から都市高速扱いであった新北九州道路、若戸大橋や関門橋の整備は文字通り国からの授かり物だったのです。
その後の有様は皆さんも肌で感じているとおりです。この原因は国の方針転換にあると私は見ています。新全総が全てを変えた、と言ってしまうのは過分にすぎるでしょうが、しかしここでの位置づけの変化=福岡市を中枢都市として位置づけ、北九州市の立場を首都圏の衛星都市並みにしたことは、ただでさえ県庁を持たず求心力が見た目にも分からない都市の拠点性を奪う結果となりました。
国の出先機関は福岡に集約され、民放テレビ局も県庁所在地に移りました。これらと同様に新空港は国際ハブ空港としての位置づけから地方空港へと下っていったのでしょう。
現在交通アクセスの整備が進んだ結果、福岡・北九州両都市圏を同一のものとして捉える考え方があります。省庁の各種調査で挙げられる「福北大都市圏」なんて名称はその最たるもので、国レベルでは両都市が同じ扱いを受けるチャンスにあるといえます。
もしここで新福岡空港が建設されるなら、話は変わります。新福岡空港はどこにできるにせよ、現状の空港借地料を大きく上回るコスト(インフラ・アクセス整備含む)を必要とします。現在の位置よりは都心から多少時間がかかるでしょう。たとえそれが24時間運用可能な空港になったとしても、コストの面で新北九州空港には及ばず、高い空港使用料が要求されることは間違いありません。そうなると、皮肉なことですが今回できる新北九州空港と「いい勝負」になります。
現在の状態であれば、新北九州空港は利便性の高い福岡空港の深夜部門・貨物部門を担う「良きパートナー」となりえますが、新福岡空港がもし実現するならば、一波乱起こるやもしれません。今回の空港にはそれだけのポテンシャルがあるといえます。ただし、これは五全総に即した考え方でこれら都市群を一体の都市圏と捉えた上での話です。(つづく)
編)新北九州空港開港にあたって、識者に寄稿を願いました。