各地で原発への不安高まる中、中部電力浜岡原発の周辺住民の思いと対策を取材しました。
福島第1原発の事故を受けて、各地で原発への不安が高まっています。
東海地震の想定震源域の上に建つ、静岡・御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所。
周辺住民の思いと、中部電力側の対策を取材しました。
静岡県の川勝平太知事は3月30日、「津波対策を万全にしないかぎり、(運転)再開は難しい」と述べた。
御前崎市の石原茂雄市長は4月12日、「国が安全だっていうことを実証できるのであれば、動かせばいい。国が保証できないんだったらすべて止める」と語った。
駿河湾に面するように、中部電力浜岡原子力発電所は建っている。
東海地震の危険性が指摘されて34年。
本当に安全なのか、これまでにない危機感が今、広がっている。
浜岡原発の1・2号機は廃炉が決まっていて、現在運転中なのは、4号機と5号機。
定期点検中の3号機は本来、4月上旬に運転を再開するはずだった。
浜岡原発が運転を始めたのは1976年。
この年の地震予知連絡会で、初めて東海地震説が発表された。
現在、東海、東南海、南海、3つの地震が連動した場合のマグニチュード8.7の地震でも、安全を保てる設計がとられている。
そして中部電力は、高さ8メートルの津波が押し寄せた場合にも、10メートルから15メートルある砂丘で防げるとしていた。
しかし、4月17日の説明会で住民からは、「今回の東北の地震ぐらいのが来ても大丈夫なのか?」といった声が聞かれた。
これに対し、中部電力の担当者は「今、正確にお答えすることはできません。なぜなら、マグニチュード9.0で評価をやっていないから」と答えた。
さらに、住民は「(想定を超えた)現状、事実があるんですよ。それを、見て見ぬふりしてるような気がするんです」と追究した。
これらの声に、中部電力の担当者は、「福島と同じことが浜岡で起きないように、こういう対策をすれば、できると確信しておりますし、また皆さんに説明をさせていただきたい」と話した。
東日本大震災後の3月15日、中部電力は3つの対策を発表した。
1つは「建物の防水性を高める」、2つ目は「緊急時の送電態勢を整備する」、そして「津波を防ぐため、砂丘と原子炉建屋の間に、少なくとも海抜12メートルの壁を設置する」。
しかし、福島第1原発には、15メートル近い津波が襲ったと発表されていて、中部電力の見通しに警告を発する専門家もいる。
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「東京電力だって、福島第1原発は津波で襲われても大丈夫だと言っていたんです。それでも事実はこうなっているわけです」と語った。
東京大学の笠原順三名誉教授は「1つは、できるだけ早く対策を立てて、実施することが非常に重要。もう1つの点は、地震には非常にバラエティーがあるので、それまで考慮した対策を立てること。この2つが非常に重要ではないかというふうに思います」と語った。
原発の近くで送ってきた、これまでの日常生活。
それを今後も続けられるのか。
住民の不安は、まだ当分続く。
住民は、「みんなに伝えてほしい。安全面にしても、何かあったときにしても速やかに」、「原発があるから怖いという思いは、なくなってほしいなっていうのがあります」と語った。
(04/21 12:47)