福島第一原子力発電所の周辺で、東京電力が国の耐震指針に沿って「13万年前から活動がなく、地震を起こさない」と評価していた断層が今月11日の震度6弱の地震のあと、11キロ余りにわたってずれていたことが研究機関の調査で分かりました。東京電力は「地震の揺れの想定の見直しもあり得る」としており、ほかの原発周辺の断層の評価に影響が及ぶことも予想されます。
断層がずれていたのは、福島第一原発から南西におよそ50キロ離れた福島県いわき市の「湯ノ岳断層」です。今月11日、福島県と茨城県で震度6弱を観測した地震のあと、茨城県つくば市にある独立行政法人土木研究所の調査で、この断層を含め11.5キロ余りにわたって地表のずれや沈下が確認されました。原発周辺の断層を巡っては、国が平成18年に原発の耐震指針を見直し、耐震性評価の際に考慮すべき活動の期間をそれまで「5万年前から」としていたのを「13万年前から」に改めました。その際、東京電力は地質などを調べた結果「この断層は13万年前から活動は見られず、地震を起こさない」と評価し、経済産業省の原子力安全・保安院も去年この評価を妥当だとしていました。この断層がずれていたことについて、東京電力は「現在、詳しい調査をしていて結果によっては、福島第一原発の地震の揺れの想定を見直すこともあり得る」としており、今後、ほかの原発周辺の断層の評価に影響が及ぶことも予想されます。