リハビリ雑記録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-04-14

金光翔氏やmedia debugger氏はダメだ

00年代以降、リベラル左派の間でも中国韓国反日ナショナリズムに対し、批判が高まっていった。それに対し極左金光翔氏やmedia debugger氏)からは「佐藤優現象」とか「オールジャパン現象」という批判が提起された。それは中国韓国反日ナショナリズムを積極的に擁護し、それをテコに日本の過去清算を求める思想だといえよう。*1

一時期は私もこうした極左思想に魅惑され、反日ナショナリズムの擁護を試みたが、結論から言えば限界は明らかであった。

たとえば韓国中国台湾東南アジア対日感情が顕著に違うことを無視して、日本に「アジア」を対置する粗雑さは覆いがたい。昨年の尖閣諸島(釣魚島)をめぐる中国漁船衝突事件が典型的だろう。中国では反日デモが高揚したが、同じく領有権を主張する台湾はおおむね静観したし、それどころか中国との領土問題を抱える東南アジア諸国は、むしろ中国に脅威を感じて危機感を募らせた。東南アジア諸国は中国の台頭に対抗するため、日本に接近するようになっている。たとえばフィリピンは日本の安保理常任理事国入りを支持するようになった。中国が反対して反日デモが起こったことと対照的に、である。いやはやかつての「反日国家」の驚くべき変貌ぶりである。

とある反日国家 - 上田亮の只今勉強中

反日ナショナリズム」を擁護すれば、台湾東南アジアが比較的「親日」なのはどう考えればよいか? という新たな問題が生じるし、そんな問題は日本の過去清算を考える上で脱線でしかない。

もちろん台湾東南アジアも決して単純な親日一色ではないし、(日本の植民地支配・戦争の)被害を訴える当事者もいる。であればこそ、「反日ナショナリズム」は置いといて、アジアの被害当事者と連携し過去清算を進めるべきである。「反日ナショナリズム」の擁護にとらわれていては、中国韓国を「特定アジア」としてアジアの奇人変人扱いし、のけ者にしようとする右翼に対抗できない。また近年、韓国中国で若年層を中心に日本への親近感が増していることも考慮に入れると、将来的には金氏たちのほうが取り残されるのではないかと思われる。

金光翔氏は日本の戦後補償運動が、「反日ナショナリズム」と距離を置くようになったことを批判的に言及していたが、「金氏のほうがダメだ」ということを痛感させられた。

主な参考文献

これまで挙げてきた文献と重複するので省略。

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