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悪徳リフォーム業者撃退法 2

 【Point.2 営業の行動を疑う】
 不覚にも押しの強い営業マンを家に入れてしまった!
奴らは屋根裏や床下など、普段見ることのない所に入っていき、なにやら
怪しいことをやり始めます。

Case.1

本当のプロはそんなところからは見ません!


 解説:
 営業マンが「無料で耐震診断をします」などと言って家に上がり込み、家主さん
でさえほとんど見ることのない屋根裏や床下へそそくさと潜っていき、数分ののち
「これはヒドい!」 「このままじゃ家が倒れるよ!」などと叫ぶように言う……。
奴らの常套手段です。
 耐震診断や補修工事を生業としている良心的なプロの専門家は、そんな
所からは見ません。


 良心的な専門家は、そもそも執拗な飛び込み営業をしていないわけですが、
耐震診断の一般的な手法としては住宅の概要把握と現況を見ることからスター
トします。
 建物がいつ頃建てられたものなのかを家主さんからお聞きします。そして設計
図面があるかどうかの確認をします。これが耐震診断の入口となります。
その後、現状で「戸の建て入れが悪い」「床が傾いている」などの問題がないかを
家主さんから聞いて現況を把握したしたり、柱や壁・基礎などに不具合があるか
どうかのチェックをして、検査を進めていきます。不具合があった場合「ここがこう
なっているから問題」という風に、根拠をもって問題点を指摘するのがプロの仕事
で、出来る限り家主さん自らの目で確認してもらおうと努力するのが良心的な専
門家のすることです(もちろん不具合箇所によってはそれが出来ない場合も多い
のですが)。ウソ八百を並べて不安を煽っている悪質業者はその逆で、
 『私も見てみよう』  というと、
 『そんなことをしなくても私がチェックしますから』
などと言ったりして、おそらく家主さん自身の確認を逃れようとするでしょう。特に、
酷い状態の写真を見せて煽っている連中は、素人目にも写真の状態とは違うこと
がわかってしまいますので、不審な言動が出てくる可能性は高くなります。

 さて、ここで指摘しておきたいのは、通常の構造で建てられた住宅の場合
床下や屋根裏にある部材の多くは建物が耐震的であるかどうかに影響を及
ぼしていない
ということです。「床束が変だからすぐに建物が壊れる」などという
奴がいたら、とっとと帰って貰いましょう!
 一般の方は意外に思われるかもしれませんが、耐震診断で特に重要なのは、
柱・梁(土台)・壁(筋交い)・基礎の4つと思って下さい。それだけで専門家で
はない皆さんにとっては十分な知識です。しかもこれらは、住宅の設計図面一式
が揃っている場合は図面上で把握できることなので、図面を見て設計上必要な
耐力が確保されているかどうかを専門家が検討を行えば、耐震診断の半分以上
は完了しているものなのです。逆に言えば、耐震診断は図面の有無によって効率
や精度が異なるので、図面の存在を確認しようとしなかったり、図面を渡しても
図面で検討しようという素振りを見せない人が行う耐震診断は、胡散臭いと見る
べきです。
 これらのことを総合しますと、

  1) 飛び込みの営業マンが「耐震診断」と称して
  2) 営業マン自身が床下(屋根裏)に直行して検査をして
  3) 「地震が来たら壊れますよ」と言う

この3点全てに合致する人は、1件の例外もなく100%悪徳業者と私は言い
切れる自信があります。万が一騙すつもりはない一般の業者であっても、耐震診断
と言いながらいきなり床下や屋根裏の確認から入るような業者は、力量に疑問があ
るロクでもない業者であることに違いは無いので、検査後、営業マンが何を言って
こようと一切無視して追い返しましょう。
 

Case.2

冷静になろう。湿気は床下だけ!? わかるのはプロだけ!?

 解説:
 前述の通り、いきなり床下から検査するだけでも悪質業者に当てはまるので
すが、耐震診断としての検査ではなく、例えばこんなケースではどうでしょう。

  「今、当社では無料の床下点検をやっているんです」
  「床下の湿度が住宅の寿命を左右するのです」
  「これを機会に点検してみませんか? すぐに終わりますので}

 これなら、いきなり床下の点検をしても不思議ではないですよね。雨漏りでも
していない限り湿気は地面からあがってくるものですし、確かに過剰な湿度は
建物を傷めるのですから。
 しかし、冷静になって考えてみましょう。湿気は床下だけの問題でしょうか?
湿気は床下では多くなるのは間違いありませんが、木造住宅の床なら、床下の
湿気の一部は床を越えて室内に入ってきます。つまり、床下の湿気が原因で
建物倒壊に至るほどのレベルなら、1階床上の目に止まる部分でも湿気の影
響が出ているはず
と見るべきです。
 このような現象が発生していますか?

  1階押入れにカビが生えている
  1階の和室の畳が湿気を帯びている
  壁のクロス等にカビが生えている
  ダニが発生している
  湿気が原因と思われる体調不良がある

このような現象が無いのなら、急いで工事を依頼するほどの惨状は床下でも起こっ
ていないと推察されます(これは状況によって変化するので断言は出来ません)。
 奴らは色んな手段を用います。腐った木片を見せたり、ボロボロの床下を写した
写真を見せたり、なかにはシロアリそのものを持ってきて「こんなのが土台に巣くって
いた」と言う人もいるそうですが、そんなものは一切信じないでください。

 もう1つ、冷静になって考えてほしいことがあります。それは、素人ではわから
ないことなのか
ということです。耐震診断なら一般の方は理解できない点もある
でしょう。でも、このケースは湿気が及ぼす影響ですから、カビやシロアリ等の問
題です。カビやシロアリが原因で建物倒壊の危険性まであるような状態なら、
プロでなくても、誰が見てもハッキリと理解できるはずです。
 自分の家なのですから、たまには床下も見てみましょう。高齢で床下の点検が
自身で出来なくても、近所の方や友達でもいいのです。床下を見て特に不審点が
なく、1階でもカビ被害は特にない。それならOK! 湿気はたったそれだけのこと
なのです。「今日見て異常はなく、次の日には大変なことになっていた」ということ
はあり得ないのが湿気問題ですから、豪雨で浸水でもしていない限り、年に1度く
らい床下を覗いてみれば十分すぎるくらいの話なのです。たまには見てみましょう。

Case.3

金物補強では効かないことも数多くあります!

解説:
 奴らの常套手段、”必殺技”と言ってもいいでしょう。耐震金物です。事実、耐震
金物と称した金物はたくさんありますし、新築時に正しく施工された耐震金物は効
果があって役に立つものです。
 しかしCase.1でも言ったとおり、そもそも屋根裏や床組の大半は、建物全体の
耐震性に影響を及ぼしていない部材なのですから、それに対して金物をくっつけ
て補強したところで、効果はほとんどありません。
 柱と梁の接合部や土台との緊結部分等が耐震金物の本来の活躍場ですが、
きちんとした金物による補強工事は、多くの場合において、事前の綿密な調査と
内外壁の該当部分の若干の取り壊しを含む工事となるはずです。
いきなり営業が来て「これでは地震時に壊れますよ」と言い、次に来たときはすぐ
に工事に着手して金物を取り付けていく…… このような流れの耐震リフォームは
相当なレベルで怪しいと考えていいと私は思います。

 1981年(昭和56年)に建築基準法の大改正が行われ、これ以降の建物を
俗に「新耐震基準の建物」などと言ったりしますが、「これ以前に建設された建物
だから危険」というのであれば、それは金物取り付け等で対応出来るものではなく、
壁量(筋交いの入った壁と思って下さい)の増加などを目的とした大がかりな耐震
工事が必要であることが多いので、それこそ建築士等の専門家による耐震診断
や工事内容の把握、工事をする際の自治体からの助成金の申請等、1つ1つ手順
を追って行うべきで、営業の口車に乗って即断してやることではありません!

これに関連して、

『建築基準法が改正されて、お宅の建物は違法建築物になる』
『直ちに改修をしないと罰則が適用され大変なことになる』

などと言う人がいたら、追い返して塩でも撒いておきましょう!
 建築基準法の改正は頻繁に行われていますが、すでに建っている建物に対して
は特に問題視されません。
確かに「既存不適格建築物」という、あまり有難くない
名称で呼ばれたりすることもありますが、原則的には増改築等の手入れをする場合
に対応が求められることになるだけで、法の順守のために改築をする必要は無い
のです。
 ちょっと難しいのですが、既存不適格建築物の扱いは、他の目的があって増築・
改築・大規模の模様替を行う場合に、合わせて違法となった部分を適法となるよう
にしなさいという意味であって、違法の改善を主目的とした手直しは必要無いという
ことです。そして増築・改築・大規模の模様替にも規定があり、単にクロスを張り替
えただけの場合などは通常はこれらに当てはまらないので、現在の法律に則さな
い状態のままでも全く問題ありません。



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