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■ご注意■
平成19年6月20日より、改正建築基準法が施行されます。
このカテゴリにある建築基準法の解説は、改正以前のものです。
改訂作業は当方の業務繁多により目途が経っておりません。
ご迷惑をお掛けしますが、ご了承ください。







 第5節 鉄骨造


ここでは、法規の鉄骨造の規定について取り上げていきます。

【適用の範囲】【材料】
令第63条
 この節の規定は、鉄骨造の建築物又は鉄骨造と鉄筋コンクリート造その他の構造とを併用する建築物の鉄骨造の構造部分に適用する。
令第64条
 鉄骨造の建築物の構造耐力上主要な部分の材料は、炭素鋼若しくはステンレス鋼(この節において「鋼材」という。)又は鋳鉄としなければならない。
 鋳鉄は、圧縮応力又は接触応力以外の応力が存在する部分には、使用してはならない。

第63条は、この節の適用範囲についての規定です。
第64条は、鉄骨造で使用する材料について規定しています。2項では、鋳鉄(ちゅうてつ)
を使用する部分を制限しています。鋳鉄は通常の鋼材より炭素(C)を多く含んでおり、もろくて
粘り気がないことから、引張強さが弱いという欠点があるため、このような規制が定められて
います。

【圧縮材の有効細長比】【柱の脚部】
令第65条
 構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材(圧縮力を負担する部材をいう。以下同じ。)の有効細長比は、柱にあっては200以下、柱以外のものにあっては250以下としなければならない。
令第66条
 構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、滑節構造である場合においては、この限りでない。

第65条は、細長比に関する規定です。細長比は、柱の座屈しやすさを示す数値で、単位は
ありません(無名数)。座屈長さをLxとし、断面2次半径を i とすると、細長比λ=Lx/i と
なります。この値が大きいほど座屈しやすいことを指します。条文ではこの値が200以下(柱
以外は250以下)とすることを義務付けています。
第66条は、鉄骨の柱脚をアンカーボルトなどによって基礎に緊結することを定めています。
詳しい緊結方法は、告示によって定められています。ただし、滑節構造(ピン接合など)の場
合は除外されています。

【接合】
令第67条
 構造耐力上主要な部分である鋼材の接合は、接合される鋼材が炭素鋼である場合は高力ボルト接合、溶接接合又はリベット接合(構造耐力上主要な部分である継手又は仕口に係るリベット接合にあっては、添板リベット接合)又はこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、接合される鋼材がステンレス鋼である場合は高力ボルト接合若しくは溶接接合又ははこれらと同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた接合方法に、それぞれよらなければならない。ただし、次に掲げる建築物については、ボルト接合(ボルトが緩まないようにコンクリートで埋め込む場合、ナットの部分を溶接し、又はナットを二重に使用する場合その他これらと同等以上の効力を有する戻り止めをする場合に限る。第2号において同じ。)によることができる。
 軒の高さが9m以下で、かつ、張り間が13m以下の建築物(延べ面積が3000m2を越えるものを除く。)
 前号に掲げるもののほか、ボルト接合によっても国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全であることが確かめられた建築物
 構造耐力上主要な部分である継手又は仕口の構造は、その部分の存在応力を伝えることができるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。この場合において、柱の端面を削り仕上げとし、密着する構造とした継手又は仕口で引張り応力が生じないものは、その部分の圧縮力及び曲げモーメントの1/4(柱の脚部においては、1/2)以内を接触面から伝えている構造とみなすことができる。

第67条は、各部材の接合方法について規定しています。1項では、鋼材が、
 炭素鋼の場合 …… 高力ボルト・溶接・リベット(または大臣認定の方法)
 ステンレス鋼の場合 …… 高力ボルト・溶接(または大臣認定の方法)
と定めています。ただし、軒高≦9m・張り間≦13m・延べ面積≦3000m2の場合は、
ボルト接合(普通ボルト)を使用することができるとしています。
ただし現状は、リベット接合や、主要な部分で普通ボルトによる接合を行うことはほとんど
ないといっていいでしょう。リベットは施工時の騒音とリベット工の不足などがあり、普通ボル
トは、いくら建築物が軽微なものでも安心できる接合方法とはいえません。
2項では、接合する継手・仕口の構造について規定しています。
★以降は、メタルタッチについての規定です。大規模なS造で、軸力が非常に大きい場合、
接合する部材の接触面を精密に加工して、完全密着するようにすることによって、その接触
面から圧縮力・曲げモーメントの一部を伝達させる(せん断力は伝達できない)ようにした工
法です。この時、引張り力が働くとメタルタッチの効果がなくなるので、引張り力が生じない
ことが条件となります。

【高力ボルト、ボルト及びリベット】
令第68条
 高力ボルト、ボルト又はリベットの相互間の中心距離は、その径の2.5倍以上としなければならない。
 高力ボルト孔の径は、高力ボルトの径より2mmを超えて大きくしてはならない。ただし、高力ボルトの径が27mm以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、高力ボルト孔の径を高力ボルトの径より3mmまで大きくすることができる。
 前項の規定は、同項の規定に適合する高力ボルト接合と同等以上の効力を有するものとして国土交通大臣の認定を受けた高力ボルト接合については、適用しない。
 ボルト孔の径は、ボルトの径より1mmを超えて大きくしてはならない。ただし、ボルトの径が20mm以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、ボルト孔の径をボルトの径より1.5mmまで大きくすることができる。
 前項の規定は、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。
 リベットは、リベット孔に充分埋まるように打たなければならない。

第68条は、高力ボルト・ボルト・リベットの個別の規定です。1項では、ボルト等の相互間の
距離について定めています。距離があまりに近すぎると、孔間が破壊される可能性がある
ので、このように定めています。高力ボルトの場合は、ピッチを60mmで統一させていること
が多いようです。
2項は、高力ボルトの孔径についての規定です。ボルト径をdとすると、
d<27mm …… d+2mmまで
d≧27mm …… d+3mmまで(構造耐力上支障がない場合)
3項は、普通ボルトの孔径についての規定です。ボルト径をdとすると、
d<20mm …… d+1mmまで
d≧20mm …… d+1.5mmまで(構造耐力上支障がない場合)
4項は、リベットの規定です。リベットを加熱して孔に通し、片方の端部を叩いてつぶすとき、
充分に埋まるように打ちこむということです。

【斜材、壁等の配置】
令第69条
 軸組、床組及び小屋ばり組には、すべての方向の水平力に対して安全であるように、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合を除き、形鋼、棒鋼若しくは構造用ケーブルの斜材又は鉄筋コンクリート造の壁、屋根版若しくは床版を釣合い良く配置しなければならない。

第69条は、水平力を受けるための斜材の規定です。軸組・床組にブレース(すじかい)を
入れるか、変形しないRC造の壁・床を入れることによって、すべてのフレーム・部材に水平力
を伝達させるようにします。軸組をラーメン構造として構造計算した場合は軸組内にブレース
はいりませんが、その時も床は剛床であることを前提にして計算することが多いので、床面・
屋根面にはブレースを配置します。とくに、屋根を折板などの軽微なもので施工する場合は、
屋根面ブレースは大変重要です。
軸組にブレースを入れた場合はトラスと同じようになるので、柱・梁の接合部はピン接合に
して、曲げモーメントを受けないようにします。

【柱の防火被覆】
令第70条
 地階を除く階数が3以上の建築物(法第2条第九号の二イに掲げる基準に適合する建築物及び同条第九号の三イに該当する建築物を除く。)にあっては、1の柱のみの火熱による耐力の低下によって建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合として国土交通大臣が定める場合においては、当該柱の構造は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

第70条は、防火被覆に関する規定です。かっこ書きの内容は、耐火建築物・準耐火建築物
に適合しているものを指します。「1の柱のみ……倒壊するおそれがある場合」というのは、
1の柱を除いた場合に、その他の構造耐力上主要な部分にかかる荷重(固定荷重+積載荷
重)が、短期の許容応力度を超える場合を指しています。3階建て以上の建築物でそのよう
な柱がある場合、その柱に被覆をすることを義務づけているのがこの条文の内容です。





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20040414改正確認済