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■ご注意■ |
平成19年6月20日より、改正建築基準法が施行されます。 このカテゴリにある建築基準法の解説は、改正以前のものです。 改訂作業は当方の業務繁多により目途が経っておりません。 ご迷惑をお掛けしますが、ご了承ください。 |
第3節 木造
令第40条 この節の規定は、木造の建築物又は木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分に適用する。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10m2以内の物置、納屋その他これらに類する建築物については、適用しない。 |
令第41条 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない。 |
第40条は、この節の適用範囲について規定しています。茶室やあずまや、物置等(10m2
以下)は適用除外となっています。あずまや(東屋)とは、よく公園やちょっとした景勝地など
にある壁がない建物で、腰を下ろす休憩所として建てられるものです。
第41条は、条文の通りです。
令第42条 1 構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。ただし、当該柱を基礎に緊結した場合又は平屋建ての建築物で足固めを使用した場合(地盤が軟弱な区域として特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内においては、当該柱を基礎に緊結した場合に限る。)においては、この限りでない。 2 土台は、基礎に緊結しなければならない。ただし、前項のただし書きの規定によって指定した区域外における平屋建ての建築物で延べ面積が50m2以内のものについては、この限りでない。 |
第42条は、基礎・土台の設けることを規定しています。1項では、土台のことについて書
かれています。最下階柱の下には土台を設けるという規定です。ただし書きの内容は、平
屋建ての軽微な建築物で足固めを使用した場合や、柱を金物等で基礎に直接緊結した場
合、土台を使用しなくてもよいということです。縁側・渡り廊下等で、土台を設けず基礎で
直接柱を受けることなどが考えられます。
2項では、基礎と土台を緊結することを規定しています。基本的には、一定の間隔で基礎の
施工に先だってアンカーボルトをセットし、土台にも先だってボルトを通す穴を開けておき、
土台をセットしたあとナットを締めて緊結します。ただし書きで、平屋建て+延べ面積≦50m2
の場合は除外されています。
令第43条 1 構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、それぞれの方向でその柱に接着する土台、足固め、胴差、はり、けたその他の構造耐力上主要な部分である横架材の相互間の垂直距離に対して、次の表に掲げる割合以上のものでなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。 |
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2 地階を除く階数が2を超える建築物の1階の構造耐力上主要な部分である柱の張り間方向及びけた行方向の小径は、13.5cmを下回ってはならない。ただし、当該柱と土台又は基礎及び当該柱とはり、けたその他の横架材とをそれぞれボルト締その他これに類する構造方法により緊結し、かつ、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。 3 法第41条の規定によって、条例で、法第21条第1項及び第2項の規定の全部若しくは一部を適用せず、又はこれらの規定による制限を緩和する場合においては、当該条例で、柱の小径の横架材の相互間の垂直距離に対する割合を補足する規定を設けなければならない。 4 前3項の規定による柱の小径に基づいて算定した柱の所要断面積の1/3以上を欠き取る場合においては、その部分を補強しなければならない。 5 階数が2以上の建築物におけるすみ柱又はこれに準ずる柱は、通し柱としなければならない。ただし、接合部を通し柱と同等以上の耐力を有するように補強した場合においては、この限りでない。 6 構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比(断面の最小2次率半径に対する座屈長さの比をいう。以下同じ。)は、150以下としなければならない。 |
第43条では、柱の小径について細かく規定されています。
1項では、横架材間の距離に対する柱の小径の大きさについて、建築物の用途や重量ごとに
分類されて決められています。
このとき、d/hが、表で示した値以上にならなければなりません。表を見てみましょう。
例1) 瓦ぶき2階建て住宅の1階柱の小径。壁は胴縁・縦羽目板。柱間隔は10m未満。
瓦・板張りは、(2)の中の軽い材料の屋根材ではなく、土蔵造でもないので(3)の段。
住宅は学校などの中に含まれていないので、一番右の欄。よって 【1/28以上の小径】
ちなみに2階は、最上階にあたるので、その隣の欄となり【1/30以上の小径】
例2) 平屋建て集会場(>10m2)・屋根は石綿スレート、外壁はリシン吹きつけ
壁が重くなく、屋根もスレートなので(2)。集会場の平屋なので一番左側の欄、
よって、【1/30以上の小径】
2項では、2階を超える(=3階以上)の木造の1階の柱の大きさを原則13.5cm以上と定
めています。横架材と金物によって緊結し、なおかつ構造計算で安全を確認している場合
は除外されます。普通の柱は12cm角ですので、13.5cm角の柱は大きいものと思われます。
3項は、地方自治体が条例を定める時の規定です。
4項は、やむを得ない理由で柱に欠損部分(欠きこみ)を作った場合、その欠損分を補う補強
をすることを定めています。
5項は、2階建て以上の建築物の隅角部及び主要な部分の柱は、1階から直接通った柱
(通し柱)とすることを定めています。これも、補強金物等を用いて、通し柱と同等の耐力があ
れば、管柱でもOKとしています。
6項は、細長比に関する規定です。細長比は、柱の座屈しやすさを示す数値で、単位はあり
ません(無名数)。座屈長さをLxとし、断面2次半径(条文でいう「2次率半径」)を i とすると、
細長比λ=Lx/i となります。この値が大きいほど座屈しやすいことを指します。条文で
はこの値が150以下とすることを義務付けています。
令第44条 はり、けたその他の横架材には、その中央部附近の下側に耐力上支障のある欠込みをしてはならない。 |
令第45条 1 引張り力を負担する筋かいは、厚さ1.5cm以上で幅9cm以上の木材又は径9mm以上の鉄筋を使用したものとしなければならない。 2 圧縮力を負担する筋かいは、厚さ3cm以上で幅9cm以上の木材を使用したものとしなければならない。 3 筋かいは、その端部を、柱とはりその他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。 4 筋かいには、欠込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするためにやむを得ない場合において、必要な補強を行なったときは、この限りでない。 |
梁と筋かいの規定です。第44条は、横架材の中央部下側に欠き込みをしてはならないとい
うことです。これは、横架材の中央下側は、大きな引張力がかかり、欠き込みが重大な損傷
を与える可能性があるからです。
第45条は筋かいの規定で、1項で引張筋かいを、2項で圧縮筋かいを規定しています。
圧縮筋かいは、座屈する危険性から、引張筋かいよりも大きな部材を必要としており、また
引張力しか受けられない鉄筋の使用は許されていません。
3項は、筋かいの接合の規定です。書いてあることはごく当たり前のことのようですが、
筋かいの効力は接合で決まります。きちんと金物で接合すること、横架材に接近させて
三角形(トラス)を形成することが重要です。窓の下の壁に筋かいを入れ、横架材ではない
窓枠に取りつけてしまうようなことをすると、場合によっては、むしろ危険になることもあるの
です。
4項は、筋かいの欠込みについての規定です。たすき掛けにする場合のみ、補強することで
欠込みすることができます。間柱と筋かいが交差する場合、間柱の方を切ります。
令第46条 1 構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあっては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。 2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する木造の建築物又は建築物の構造部分については、適用しない。 一 次に掲げる基準に適合するもの
3 床組及び小屋ばり組の隅角には火打材を使用し、小屋組には振れ止めを設けなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。 4 階数が2以上又は延べ面積が50m2を超える木造の建築物においては、第1項の規定によって各階の張り間方向及びけた行方向に配置する壁を設け又は筋かいを入れた軸組を、それぞれの方向につき、次の表1の軸組の種類の欄に掲げる区分に応じて当該軸組の長さに同表の倍率の欄に掲げる数値を乗じて得た長さの合計が、★その階の床面積(その階又は上の階の小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等を設ける場合にあっては、当該物置等の床面積及び高さに応じて国土交通大臣が定める面積をその階の床面積に加えた面積)に次の表2に掲げる数値(特定行政庁が第88条第2項の規定によって指定した区域内における場合においては、表2に掲げる数値のそれぞれ1.5倍とした数値)を乗じて得た数値以上で、かつ、★★その階(その階より上の階がある場合においては、当該上の階を含む。)の見付面積(張り間方向又はけた行方向の鉛直投影面積をいう。以下同じ。)からその階の床面からの高さが1.35m以下の部分の見付面積を減じたものに次の表3に掲げる数値を乗じて得た数値以上となるように、国土交通大臣が定める基準に従って設置しなければならない。 |
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3
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第46条は、軸組に関する規定です。軸組は、木構造を形成する時のパーツとなるもので、
柱・梁(横架材)・筋かいなどで構成される骨組です(下図)。木構造では、この軸組の良し悪
しが、その建築物の耐力を直接左右するといっても過言ではありません。それだけに、施行
令でも、さまざまなことが想定された細かい規定があります。
1項では、軸組の配置のありかたについて書かれています。 2項では、軸組を設けなくてもよい場合の条件が規定されています。2項の条文中に、「次の各号のいずれか」(下線部)とあり、一号または二号のどちらかを満たせばいいのですが、一号を満たすには、その内のイ・ロ・ハの3つすべてに適合していることが条件となります。つまり、(一号のイ・ロ・ハ)or(二号)という構図となります。一号では、大断面の集成材などを使用した大規模木造建築物を想定しています。よって、イでは集成材の品質を、ロでは柱脚部を緊結することを、そしてハでは構造計算を行うことを規定しています。 二号では、軸組の代わりに、接合部を補強した上で方づえを用いた場合や、控柱・控壁などによって水平力を負担できる構造にした場合について書かれています。 3項は、床組・小屋ばり組に、斜材(=火打材)を設けること、小屋組には振れ止めを設けることが規定されています。これは、床組・小屋ばり組は四角形で、それに対し水平の力には変形して歪むことが想定されるので、それを受ける意味で角に火打材(火打土台・火打梁)を設けることを定めているのです(右図)。小屋組も大きなトラスを形成するので、面外に対する力に弱くなるのを防ぐために振れ止めを設置することを定めています。 |
4項では、2階建て以上か延べ面積50m2超の建築物について、必要軸組長さを規定してい
ます。木造の規定の中で一番重要といってもいいでしょう。必要軸組長さは、地震力から決ま
るものと、風圧力から決まるものの2つがあり、両方を満たす(大きい方をクリアする)必要が
あります。
軸組長さの求め方
軸組長さは、その軸組に入れた筋かいの効きの強さによって、実際の長さ以上の長さとする
ことができます(一部は実際の長さの半分になる)。例で見てみましょう。例中の木ずりとは、
塗り壁などの下地となるものです。
種類 | 木ずり(片面) | 筋かい(3×9cm) | 筋かい(9×9cm)たすき掛け |
図例 | |||
倍率 | (1)より、倍率0.5 | (3)より、倍率1.5 | (7)より、倍率5 |
軸組長さ | 1000×0.5=500 | 1000×1.5=1500 | 1000×5=5000 |
軸組長さの計算は、この倍率を掛けた数値で行います。ですから、軸組長さが足りない場合は、
単純に軸組の長さを長くする以外に、筋かいを強いものにするという方法も考えられます。
(1) 地震力(床面積)から決まる必要軸組長さ(条文中の★)
地震力は、床面積に表2の係数をかけて算出します。表2の数値は、求める階数と、壁・屋
根の仕上げ(第43条と同じ)によって定められています。その長さより、軸組長さを長くする必
要があります。元が床面積ですので、張り間方向・けた行方向共に、必要軸組長さは同じと
なります。
例1) 3階建2階部分の床面積60m2の必要軸組長さ。屋根は金属板・壁はサイディング。
屋根・壁の仕上げから、第43条1項の表の(2)に当てはまるので、下欄になる。「階数が3の
建築物の2階」の欄を見ると、「34」となる。
60m2×34cm/m2 = 2040cm 張り間・けた行方向共に20.4mの軸組長さが必要。
例2) 2階建1階部分の床面積85m2の必要軸組長さ。屋根は瓦。壁はサイディング。
屋根・壁の仕上げから、第43条1項の表の(3)に当てはまるので、上欄になる。「階数が2の
建築物の1階」の欄を見ると、「33」
85m2×33cm/m2 = 2805cm 張り間・けた行方向共に28.05mの軸組長さが必要。
(2) 風圧力から決まる必要軸組長さ(条文中の★★)
風圧力は、見付面積で決まります。その時、必要軸組長さを求めたい階の床面から、
1.35mの高さまでの壁面積は除外できます。これは、1.35m以下の壁に受けた風圧力
は、その下の階の軸組に力が流れることを想定して、減じているのです。これは、張り間・
けた行方向によって面積がかわるので、2方向の面積を算出する必要があります。
「その階の床面から1.35mを減じた見付面積」を図に表すと、以下のようになります。
見付面積とは、条文にも書いてありますが、鉛直投影面積です。つまり、光を当てたとき
反対側にできる影の面積ですので、壁面積だけでなく、屋根の面積も含まれます。
これによって求められた面積に、50cm/m2をかけて、必要軸組長さとします。特定行政庁
によって特別に定められた数値がある場合は、その数値をかけます。
令第47条 1 構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。この場合において、横架材の丈が大きいこと、柱と鉄骨の横架材とが剛に接合していること等により柱に構造耐力上支障のある局部応力が生ずるおそれがあるときは、当該柱を添木等によって補強しなければならない。 2 前項の規定によるボルト締には、ボルトの径に応じ有効な大きさと厚さを有する座金を使用しなければならない。 |
第47条では、継手・仕口の接合方法について定めています。また、横架材の力などにより、
柱に局部応力が発生するなどというときには、その部分を補強することも定めています。
筋かいが取りつく仕口には、その筋かいの強さに応じて、告示によって接合方法が細かく
規定されています。釘の太さ・本数まで決められているのです。
2項では、ボルト締めには座金を使うことが定められています。
令第48条 1 学校における壁、柱及び横架材を木造とした校舎は、次に掲げるところによらなければならない。 一 外壁には、第46条第4項の表1の(5)に掲げる筋かいを使用すること。 二 けた行が12mを超える場合においては、けた行方向の間隔12m以内ごとに第46条第4項の表1の(5)に掲げる筋かいを使用した通し壁の間仕切壁を設けること。ただし、控柱又は控壁を適当な間隔に設け、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。 三 けた行方向の間隔2m(屋内運動場その他規模が大きい室においては、4m)以内ごとに柱、はり及び小屋組を配置し、柱とはり又は小屋組とを緊結すること。 四 構造耐力上主要な部分である柱は、13.5cm角以上のもの(2階建ての1階の柱で、張り間方向又はけた行方向に相互の間隔が4m以上のものについては、13.5cm角以上の柱を2本合わせて用いたもの又は15cm角以上のもの)とすること。 2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する校舎については、適用しない。 一 第46条第2項第一号に掲げる基準に適合するもの 二 国土交通大臣が指定する日本工業規格に適合するもの |
第48条は、学校を木造で建築する場合の規定です。現在では、ほとんどの場合、学校など
はRCや鉄骨で造ることが多いので、ここの規定により学校を建築することはほとんどないと
思いますが、逆に自然の材料を用いて建築した方がよいなどという風潮もあります。よって、
この条文にも簡単に触れてみましょう。
1項の各号では、以下のようなことが規定されています。
一号では、筋かいを9cm角(46条4項表1(5)より)すること。
二号では、けた行12m以内に、原則として通し壁を設けること(構造計算すればなくてもOK)。
三号では、けた行方向2mごとに、柱・梁・小屋組を設け緊結すること。
四号では、柱の径を13.5cm以上とすること。2階建ての1階で、張り間又はけた行の間隔
が4m以上となる場合については、受ける力が大きくなるので、13.5cm角2本合わせたも
の又は15cm角以上とすること。
2項では、1項の適用除外について規定しています。一号では、基本的には大断面木造建
築物の基準に適合した上で、構造計算で確認することが条件となっています。それは、第46
条第2項第一号のハに、構造計算することが定められているからです。二号では、日本工業
規格(JIS)に適合することが定められています。
令第49条 1 木造の外壁のうち、鉄網モルタル塗その他軸組が腐りやすい構造である部分の下地には、防水紙その他これに類するものを使用しなければならない。 2 構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。 令第50条 削除 |
第49条は、防腐措置の規定です。1項では、下地に防水紙などの措置をすること、2項で
は防腐措置と害虫に対する措置をとることを定めています。地面から1m以内の部分ですの
で、土台は通常、防腐措置をしなければなりません。
第50条はありません。
20040414改正確認済