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■ご注意■ |
平成19年6月20日より、改正建築基準法が施行されます。 このカテゴリにある建築基準法の解説は、改正以前のものです。 改訂作業は当方の業務繁多により目途が経っておりません。 ご迷惑をお掛けしますが、ご了承ください。 |
建築基準法令関係
ここでは、構造に関係する部分を中心に、建築基準法・施行令で決められていることを
取り上げていきます。普段は忘れがちですが、構造計算の手法や、使用する値の1つ1つ
が、基準法・政令・規則などに基づいたものでありますので、この部分をしっかりと押さえて
おくことは大変重要なことであると考えています。
余談ですが、建築基準法というのは、建築全般にわたって記されている法律です。法律は
国会で決議されるものです。それに対し建築基準法施行令は、基準法という法律を受けて、
内閣で制定された政令です。基本的には違うものなのですが、お互い「持ちつ持たれつ」の
間柄で、法律で大枠を定め、政令によって細則を定めることによって実質的な効力を発揮する
関係になっているのです。
ちなみに、ここでは構造計算の中の許容応力度・保有水平耐力・そして新しい計算方法で
ある限界耐力計算については、深くは取り上げません。取り上げたら書ききれそうもないので。
これら計算方法の具体的なことについては、またの機会に取り上げたいと思います。
◇基準法・施行令用語
建築基準法・施行令で使われている用語について、構造に関するものをまとめてみましょう。
主要構造部(法2条1項五号) 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け壁、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段 その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。 |
地階(令1条1項二号) 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のものをいう。 |
構造耐力上主要な部分(令1条1項三号) 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。 |
軒の高さ(令2条1項七号) 地盤面から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷げた又は柱の上端までの高さによる。 |
超高層建築物(令36条3項かっこ書き内) 高さが60mを超える建築物 |
許容応力度等計算(令82条1項など) 許容応力度の計算・層間変形角・剛性率・偏心率・保有水平耐力の計算 ※この言葉に、保有水平耐力計算も含まれていることに注意してください。 |
有効細長比(令43条6項) 断面の最小2次率半径に対する座屈長さの比(条文より)。 細長比とは、柱の座屈しやすさを示すもので、記号はλで表す。座屈長さを断面2次半径で除した値。この値が大きいほど、座屈しやすいことを表す。座屈長さとは、両端の支持状態によって異なり、実際の柱の長さとは別のものである。 |
◇構造計算による確認
法第20条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。 一 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること 二 次に掲げる建築物にあっては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従った構造計算によって確かめられる安全性を有すること。 イ 第6条第1項第二号又は第三号に掲げる建築物 ロ イに掲げるもののほか、高さが13m又は軒の高さが9mを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造としたもの |
(参考)第6条第1項 一 (略) 二 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500m2、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの 三 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200m2を超えるもの 四 (略) |
この2つの条文で、建築物を設計し確認を申請するときに、構造計算によって安全性を確認
しなければならないことを定めています。この条文を読み解くと、具体的に計算が必要な
建築物の規模は、
1. 木造の時、(1)3階建て以上、(2)高さ>13m 軒高>9m、(3)延べ面積>500m2
2. 木造以外で、(1)2階建て以上 (2)延べ面積>200m2
3. コンクリートブロック・れんが造などで、高さ>13m 軒高>9m
となります。コンクリートブロック造なども木造以外ですので、当然2の条件も含まれます。
第3章 構造強度
第1節 総則
令第36条 1 法第20条第一号の政令で定める技術的基準(建築設備に係る技術的基準を除く。)は、この節から第7節の2までに定めるところによる。 2 法第20条第二号に掲げる建築物以外の建築物の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとしなければならない。 一 この節から第7節の2までの規定に適合する構造方法 二 耐久性等関係規定(カッコ内略)に適合し、かつ、第82条の6に規定する限界耐力計算又は第81条第1項ただし書に規定する構造計算(国土交通大臣が限界耐力計算による場合と同等以上に安全さを確かめることができるものとして指定したものに限る。)によって安全性が確かめられた構造方法 三 耐久性等関係規定に適合し、かつ、第81条の2の規定により国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けた構造方法 3 法第20条第二号に掲げる建築物(高さが60mを超える建築物(次項、第81条及び第81条の2において「超高層建築物」という。)を除く。)の構造方法は、次の各号のいずれかに該当するものとしなければならない。 一 この節から第7節の2までの規定に適合し、かつ、第82条に規定する許容応力度等計算又は第81条第1項ただし書に規定する構造計算によって安全性が確かめられた構造方法 二 前項第二号又は第三号に掲げる構造方法 4 超高層建築物の構造方法は、耐久性等関係規定に適合し、かつ、第81条の2の規定により国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。 |
この第36条から、構造強度として、構造の各種規定などを定めています。構造の決まりご
とのほとんどが、この章に書かれています。
2項の、「法第20条第二号に掲げる建築物以外の建築物の構造方法」とは、先に説明し
た構造計算が必要とされる規模の建築物以外のものを指しています。ここで、構造計算を必
要としない建築物の基本的な構造規定を定めています。一号から三号を見てみると、
一号 構造の技術的基準をすべて満たしていること。
二号 技術的基準の中の耐久性に関する規定(耐久性等関係規定)を満たし、かつ限界耐
力計算をクリアすること
三号 耐久性等関係規定&国土交通大臣認定の構造方法
となっています。これら3つのうち、どれかを満たせばいいということですので、もし、基本事項
である技術的基準を満たしてない(一号を満たしていない)場合は、耐久性等関係規定を満た
し、限界耐力計算(許容応力度等計算ではダメ)で確認せよ(二号)又は国土交通大臣のお
墨付きが必要(三号)ということを示しているのです。
耐久性等関係規定というのは、技術的基準の中でも、部材の腐敗していたり損傷しているの
を使用しないこと、コンクリート強度を確保すること、耐火被覆、かぶり厚さなど、建築物の寿命
に直接関わるものに絞ったものです。耐久性というのは構造計算する上での前提となっている
ものなので、必ずクリアしていなければならないことになってます。
3項は、構造計算が必要な建築物について定めています。ここの一号で、構造の技術的基
準+許容応力度等計算となっていて、計算が必要となることがわかります。二・三号は上記と
同じです。
4項は、超高層建築物(高さ60m超)について定めています。
令第36条の2 1 建築物の構造設計に当たっては、その用途、規模及び構造の種別並びに土地の状況に応じて柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が、これに作用する自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧、及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにすべきものとする。 2 構造耐力上主要な部分は、建築物に作用する水平力に耐えるように、つりあいよく配置すべきものとする。 3 建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靱性をもたすべきものとする。 |
ここでは、構造設計の原則について書かれています。第36条の2がそれです。
構造の一般的なことについて書かれているので、条文をそのまま読んでいただければ
わかると思います。
第2節 構造部材等
【構造部材の耐久】【基礎】令第37条 構造耐力上主要な部分で特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのあるものには、腐食、腐朽若しくは摩損しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をした材料を使用しなければならない。 |
令第38条 1 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。 2 建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。 3 建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ13m又は延べ面積3000m2を超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積1m2につき100kNを超えるものにあっては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあっては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。 4 前2項の規定は、建築物の基礎について国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。 5 打撃、圧力又は振動により設けられる基礎ぐいは、それを設ける際に作用する打撃力その他の外力に対して構造耐力上安全なものでなければならない。 6 建築物の基礎に木ぐいを使用する場合においては、その木ぐいは、平屋建の木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。 |
第37条・38条は、構造部材について書かれています。第37条は、腐食等に対する
措置を義務付けています。
第38条では、基礎の原則について触れています。
2項は、異種基礎の併用禁止としています。以下に、NGの場合とOKの場合の例を挙げて
おきます。
NGの例 | OKの例 |
(1)直接基礎と杭基礎 べた基礎−場所打ちコンクリート杭 (2)支持杭と摩擦杭 (3)支持杭の異種工法 打ちこみ杭−場所打ちコンクリート杭 |
(1)布基礎とべた基礎 (両方とも直接基礎) (2)エキスパンションジョイントで別棟にした場合 (ちがう建築物だからOK) |
3項では、支持地盤について規定しています。高さ13m超、延べ面積3000m2超で、単位
重量が100kN/m2以上となる場合は、良好な地盤に支持させることとしています。ですか
ら、この規模の建築物の場合、事前の地盤調査に基づく設計をすることが基本となります。
4項・5項は、条文の通りです。
6項は、木ぐいに関する規定です。木は絶乾状態か、または水中だと腐敗しません。です
から常水面下であることを規定しているのです。
20040414改正確認済