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継手の設計(許容応力度設計)
S造では、RC造とは違って、部材そのものを工場から運んで組み立てるために、部材の長さ
がある程度決められています。そこで、部材同士を繋ぐ継手があらゆる所で必要となります。
ここでは、高力ボルトによる梁の継手の計算の方法で、略算として広く用いられている方法
について考えていきます。
高力ボルトは、主に摩擦力で部材同士を接合します。よって、高力ボルトが何枚の板を挟み
つけるかで、伝達できる応力が変化します。許容応力度の所でも書きましたが、ここで改めて
高力ボルトの1面せん断・2面せん断の仕組みを見てみましょう。
| 長期許容耐力 | 短期許容耐力 | |||||
| 引張 | せん断 | 引張 | せん断 | |||
| 1面 | 2面 | 1面 | 2面 | |||
| M16 | 6.23 | 3.02 | 6.03 | 9.35 | 4.52 | 9.05 |
| M20 | 9.73 | 4.71 | 9.42 | 14.60 | 7.06 | 14.13 |
| M22 | 11.78 | 5.70 | 11.40 | 17.67 | 8.55 | 17.10 |
| 1面せん断 | 2面せん断 |
計算の流れ
(1) 部材の有効断面2次モーメントを算出する。(ボルト孔は欠損とする)
(2) (1)より、有効断面係数Zeを算出する。
(3) ウェブの有効断面積Awを算出する。(※全断面積の85%を有効断面積とする)
(4) を算出する。これにより、片側の部材に必要なボルト本数が算出される。
N:フランジボルト本数
Ze:有効断面係数(cm3)
ft:部材の許容引張応力度(t/cm2)
h:上下フランジ中心間距離(cm)
R:ボルト1本の許容耐力(t)
(5) を算出する。これにより、片側の部材に必要なボルト本数が算出される。
M:ウェブボルト本数
Aw:ウェブの有効断面積(cm2)
fs:部材の許容せん断応力度(t/cm2)
R:ボルト1本の許容耐力(t)
※ フランジの場合は、断面でみたときにボルトがウェブを挟んで左右1列ずつになることが
普通なので、欠損部分を計算して求めます。しかしウェブの場合は、ボルト本数によって欠
損の数が変わりますので、15%欠損として計算します。有効断面2次モーメントなどでは
ウェブのボルト欠損を考慮していませんが、それは安全側の設計になるので問題ありませ
ん。
それでは、実際に計算してみましょう。
例)以下の条件で継手を設計する。
部材:H-450×200×9×14(SS440)
ボルト:F10T M20 (孔径21.5mm)
H型鋼の断面2次モーメント I=33500 (鋼材の資料より)
| (1)有効断面2次モーメント =27778cm4 (2)有効断面係数 Ze=27778/22.5=1235cm3 (3)ウェブ有効断面積 Aw=45×0.9×0.85=34.4cm2 (4)必要ボルト本数(フランジ) (9.42…M20の2面せん断、上の表参照) ※フランジのボルトは左右2列になるので偶数の本数とします。 (5)必要ボルト本数(ウェブ) |
◇高力ボルトのピッチ
高力ボルトのピッチは、部材ごとに決めるのではなく標準化しておいて、本数によって添板
(スプライスプレート)のサイズを決められるようにしておきます。通常の高力ボルト(M16〜M22)
の場合、ボルトのはしあきは40mm(図のe)、ピッチは60mm(図のp)とするのが一般的
です。ただし、ウェブのボルトが少ない場合には、ピッチを90・120mmとすることもあります。
また、部材同士のクリアランスは10mmほどみておきます。なお、ウェブの添板からH鋼のフラ
ンジまでの距離(図の*印)は、ボルト締めの作業性を考えると、最低でも60mm以上(はしあき
を加え、最初のボルトまで100mm以上)は必要です。この寸法でウェブボルトが収まらない場合
は2列にします。
フランジ内側添板の幅は、一般的に使われている寸法では、以下のようになっています。この
時、フランジ幅300以上で千鳥、350以上で片側2列のボルト配置ができます(千鳥時は列同
士の間隔を40mm、2列の場合はピッチ分を確保します)。
| フランジ幅 | 150 | 175 | 200 | 250 | 300 | 350 | 400 |
| 内添板幅 | 60 | 70 | 80 | 100 | 110 | 140 | 170 |
これにより、フランジとウェブの添板のサイズはボルト本数によって決めることができます。
| フランジのボルト配置 |
| ウェブのボルト配置 |
◇フランジ・ウェブ添板厚の算定
添板は通常、フランジの場合内外に2枚ずつ、ウェブ場合表裏に2枚ずつ、挟むように取り付
けます(小さな部材の場合は、フランジ内側の添板を無くし、1面せん断接合とすることがあり
ます)。そのとき、添板厚さは、2枚合わせてフランジ・ウェブの厚さの1.5倍程度を目安
としていることが多いようです。例えば、フランジ厚が12mmならば、フランジの添板は内外とも
9mmとします。ウェブの添板も全く同じです。
ここでは、その添板厚さを計算によって定める場合の方法について見てみましょう。
1)フランジの添板厚
まずは、必要な添板の断面積を算出します。
(1) Asf=Ze/(H−tf)
Asf:必要添板断面積(cm2)
Ze:有効断面係数(cm3)
H:H鋼のせい(cm)
tf:フランジ厚(cm)
次に、そこから添板の厚さを算出します。
(2) t1=Asf/(W1+2W2−2gd)
t1:フランジ添板厚(cm)
W1:フランジ外側の添板幅(cm)
W2:フランジ内側の添板幅(cm)
g:ボルトの列(フランジの左右合わせて)
d:ボルト孔径(cm)
計算外規定として、フランジ厚は9mm以上とします。
2)ウェブの添板厚
t2:ウェブ添板厚(cm)
H:H鋼のせい(cm)
tw:ウェブ厚(cm)
hw:ウェブ添板長さ(cm)
m1:1列のウェブボルト本数
d:ボルト孔径(cm)
計算外規定として、ウェブ厚は6mm以上とします。
例) 上の例題の添板を算定する。
部材:H-450×200×9×14(SS440)
ボルト(片方につき):フランジ6-M20 ウェブ4-M20
孔径:21.5mm
1)添板の長さ
フランジボルト片側6本(3本×2) ピッチ60mm はしあき40mm クリアランス10mm
上図より、 40×4+60×4+10=410
ウェブボルト片側4本(4本×1)
上図より、40×2+60×3=260
2) フランジの添板
Asf=1235/(45−1.4)=28.3
t1=28.3/(20+2×8−2×2×2.15)=1.033 → 12mm
3) ウェブの添板
| フランジ外側 フランジ内側 ウェブ |
PL-12×200×410 2PL-12× 80×410 PL- 12×170×260 |