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 梁の算定


  主筋の断面算定

応力の種類 算定方法 備 考
モーメントによる
断面算定
(1) C=M/bd → γを決めRC規準の「梁断面計算図表」
  から、Ptを求める。
(2) At=Pt・b・d で、引張側の鉄筋断面積を求める。
(3) Ac=At・γ で、圧縮側の鉄筋断面積を求める。
M:モーメント  γ:複筋比(0.4〜0.6)
b:梁幅(スラブ有効幅を含む)
d:有効せい(D-5cm) Pt:引張鉄筋比
At,Ac:引張,圧縮鉄筋断面積
せん断力による
断面算定
  ψ=Q/fa・j  で、引張鉄筋の総和を求める。
※ faは、対象となる鉄筋の下に30cm以上のコンクリート
がある場合には「上端筋」の値を使用します。
ψ: 鉄筋の周長
Q: せん断力
j:7/8・d
fa:鉄筋の許容付着応力度

 また、引張鉄筋の断面積0.004bd以上 (壁付きの場合、引張・圧縮あわせて0.008bd以上)
または、長期応力で求めた断面積の4/3倍 のうち、どちらかを満たす必要があります。

 スターラップ(あばら筋)の算定

   算定方法   備 考 
通常 Q<fs・b・j fs:コンクリートの許容せん断応力度
b:梁幅  j:7/8・d
せん断スパン比
による割増し
Q<α・fs・b・j  
スターラップ負担 Q<α・fs・b・j+0.5ft(Pw-0.002)b・j ft:スターラップの許容引張応力度
Pw:あばら筋比(Pw≦1.2%)

 最初、「通常」の式で解き、満足できない場合は「せん断スパン比による割増し」のαで割増しし、
それでも満足できない場合は、「スターラップ負担」の式から、満足できるPwを算出し、必要な
スターラップを入れることになります。
 ただしスターラップは、最低でも0.2%入れなければならず、また最高(負担できる最大限)
は1.2%までなので、それ以上必要な場合は、あきらめて梁断面を大きくしましょう。 また、
ひび割れをできるだけ避けたい箇所の梁は、スターラップに負担させず、α・fs・b・j で満足させる
のが無難です。
 Pwから、入れるべきスターラップの断面積を求めるには、
 Aw=Pw・b・x
   Aw: 1組のスターラップ断面積
   b:  梁幅
   x:  スターラップ間隔

 また、せん断力Qを短期で求める場合、短期で追加される地震荷重は2倍にする必要があります。
  Q(短期)=QL+2・QE
 ただし、αを算出する場合のQは、地震荷重を2倍にしないで計算します。

梁の構造規定(これは、計算の結果にかかわらず、守られなければならないものです)

(1) 梁せいは、45cm以上とする(小梁で軽微なものでは35cm以上)。
(2) 主要な梁は、全断面にわたって複筋梁とする(「上下2本以上の主筋を入れろ」という意味)。
(3) 主筋は、φ13またはD13以上の鉄筋を使用すること。
(4) スターラップの間隔は、φ9またはD10使用の時、梁せいの1/2以下、かつ25cm以下とする。
   それ以上の径の鉄筋(D13など)を使う時は梁せいの1/2以下、かつ45cm以下とする。
(5) あばら筋比は0.2%以上とする。


補足:引張鉄筋比について
 梁計算の流れを順に書いてきましたが、モーメントの断面算定で、モーメントの値が小さい場合(図表で、途中から折れ曲がる手前の部分)は、表を見ずに、At=M/ft・jで算出できます。この、途中から折れ曲がる部分を釣合い鉄筋比といいます。これより先(勾配がゆるく、横に伸びている方)では、引張側の鉄筋よりも先に、圧縮側のコンクリートが破壊することを示しており、逆にその手前の、勾配が急で上方向に伸びている部分は、引張側の鉄筋が先に壊れることを示しています。つまり、折れ曲がる手前の部分だと、単純に「応力と引張鉄筋のガチンコ勝負!」になるので、鉄筋の引張応力度から単純に求めることができるのです。
 では、圧縮側コンクリートで破壊するとき、なぜ表が必要で、圧縮側の鉄筋も計算しなくてはいけないのかというと、鉄筋も圧縮力を受けられるからです。しかも、圧縮力に対しても、鉄筋はコンクリートより大きな力を受けることができるのです。ですから、Ptから逆に表を見ていくと、γの値が大きい方がCの値が大きくなることがわかります。それとは反対に、引張で決まる場合、計算上ではコンクリートに引張力を負担させることはできないことになっています。ですから引張で決まる場合は計算が単純なんですね。

 応力算定
 梁の断面を算定するには、その梁にどれくらいの応力がかかるか、あらかじめ求めておく必要があります。
そのためにはまず、仮定荷重を求め、次にその梁がどれくらいの面積の床を受け持つかを検討し、それに
応じた応力を求めることとなります。屋上で多雪地域の場合、長期にも積雪荷重が入ることがあります。
 例:屋根スラブ(t=15cm)+看板基礎(3t)の場合
 固定荷重(kg/m2)

アスファルト防水  15
シンダーコンクリート   厚 70   140
スラブ   厚150 360
天井ほか  25
合計 540

(30x60)
0.3x(0.6-0.15)x2.4 = 0.324 → 330kg/m

 積載荷重
  小梁 大梁・柱 地震時
居室 90 80 65 30
 C M Q
種類 荷重状態 ly lx w C M Q
6.0 1.5 0.62 2.5 3.8 2.1
6.0 2.0 0.62 3.0 4.8 2.5
梁自重 6.0 - 0.33 1.0 1.5 1.0
看板基礎 6.0 - 3.0 4.0 6.0 3.0
合計         10.5 16.1 8.6
床のCMQの計算式は、RC規準の付12をご覧ください。

 ここで言うCとは、梁の両端が完全固定の時の端部のモーメント、Mとは、両端が完全ピンの時の
梁中央のモーメントです。Qはせん断力です。
 ちなみに、このページの一番上で出てきたC=M/bd2の”C”とCMQの”C”とは全く別物です。
CMQのCをそのまま代入して表を見ても、正しい値はでません(たまにそれらしい鉄筋量が算出できたりするのだ^^)
 大梁の場合、上のCMQを足がかりに、固定法などによりフレームを解いて長期の応力を算定します。
小梁の場合はフレームを形成しているわけではないので、このCMQの値を使いますが、梁の掛け方によって
応力が異なります(下表)。

(1)単純梁(梁が1つ)の場合 (2)梁が2本並んでいる(連梁1)場合 (3)梁が2以上本並んでいる(連梁2)場合

では、実際に計算してみましょう。
 例1) 上記の例で単純梁の場合 
 準備計算・計算条件
 コンクリート強度21N 鉄筋SD345(D19使用)
 B=30(cm) D=60(cm) d=D-5=55(cm) j=7/8・d=48.13(cm)
 応力状態(右図) 鉄筋比γ=0.6とします(通常0.4〜0,6の範囲で設定する)
 許容応力度
コンクリート(21N)
長 期(kg/cm2)
圧縮 引張 せん断(fs)
70 7.0
鉄筋(SD345)
長 期(kg/cm2)
圧縮・引張(ft) せん断
2200 2000
付着応力度(D19)
長 期(kg/cm2)
上端筋(fa) その他
14.0 21.0
端部:
  C=M/bd2
   =6.3×1052/(30×55) ←105でモーメント単位をt・mからkg・cmに変更
   =6.94 →引張鉄筋で決定(引張応力度の計算を行う)
  At=M/ft・j =6.3/(2.2×0.4813)=5.95(cm2) →3−D19(8.61cm2)
  ψ=Q/fa・j
   =8600/(14×48.13)=12.76(cm) →3−D19(18.0cm)

中央:
 中央下端の鉄筋は、表を使わず引張応力度の式で算定します!(理由は後ほど)
  At=M/ft・j =12.43/(2.2×0.4813)=11.74(cm2) →5−D19(14.35cm2)

スターラップ算定
Q<fs・b・j
 fs・b・j=7.0×30×48.13=10107(kg)>8600(kg) OK!(よって計算外規定0.2%入れればよい)

配筋例 
端 部 中 央
300×600 300×600
3-D19 2-D19
3-D19 5-D19
□-D10-200@ □-D10-200@
※端部下端筋は、単純梁の場合、かなり端部に近い所まで下側が引張側になるので、安全のため入れてあります。

例2) もしこれが、梁が2本並んでいる連梁だったら……
 外端(0.6C): 例1と同じ
 中央:
   At=M/ft・j =9.3/(2.2×0.4813)=8.78(cm2) →4−D19(11.48cm2)
 内端(1.3C):
  C=M/bd2
   =13.7×105/(30×552) ←105でモーメント単位をt・mからkg・cmに変更
   =15.1 →Cが大きいので表からPtを求める。
ヒント: RC規準の梁の計算図表のCを見るとき、三角スケールの1/300を使うと
     小数点以下まで読みやすいです。
  表よりPt=0.95%
  At=Pt・b・d= 0.0095×30×55=15.68(cm2) →6−D19(17.22cm2)
  Ac=At・γ= 15.68×0.6=9.41(cm2) →4−D19(11.48cm2)

※ 付着(せん断による算定)・スターラップは、例1と同じです。
配筋例
外 端 中 央 内 端
300×600 300×600 300×600
3-D19 3-D19 6-D19
2-D19 4-D19 4-D19
□-D10-200@ □-D10-200@ □-D10-200@

※今度はつりあがっている内端側が、中央付近まで上端引張があるので(鉄筋が急激に減るのを
防ぐためでもある)、中央上端を3本としました。私が単なる心配性なだけかもしれません^^

 さすがに、連梁にすると断面が苦しくなりますね。これはあくまで計算例なのでご了承のほどを。

 中央で表を使わず引張応力度の式を使うのは、圧縮側のコンクリートではなく引張側の
鉄筋で決まることがわかっているからですが、それは圧縮側(上側)のスラブが有効に働くからです。
スラブの有効幅baの求め方は、以下の通りです。4種類の式がありますが、”単純梁のLは、
ラーメンまたは連続梁のLの倍である” という関係を覚えおけば、式の扱いがラクになるでしょう。
  ラーメン材または連続梁
a<0.5L (0.5-0.6a/L)・a
a≧0.5L 0.1L
  ラーメン材以外の単純梁
a<L (0.5-0.3a/L)・a
a≧L 0.2L
a:平行な隣の梁との距離(内法寸法)
L:梁のスパン
※ 算出するbaは片方のスラブの
有効幅で、両側にスラブがある場合は
左右それぞれについて算出します。

この場合、例1の単純梁では2m以上の有効幅をとることができます。C=M/bdのbでは、スラブの有効幅も
加えますのでCが小さくなり、その結果、計算する前に引張鉄筋で決まることが想像できるのです。
ただし、これはスラブが圧縮側にちゃんと付いていることが条件で、空中を飛んでいる梁や、逆梁などの場合は
注意が必要です。





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