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 構造設計の進め方2

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 ルート1

 小規模な建築物の場合の計算ルートで、固定荷重・積載荷重にプラスして
地震力などの短期荷重を想定し、応力を算出します。そして、それぞれの部材
が、そこに掛かる応力に対して耐えられるかどうかを計算して、終了します。
これを許容応力度計算(1次設計)といいます。
 この計算だけで済ますためには、建築物の規模の他にも様々な規定があり、
それらを全てクリアしてないといけません。クリアできない場合は、その上位の
計算ルート(ルート2〜4)を選択することとなります。

 RC・SRC造
 【1】 高さ20m以下
 【2】 柱・壁量が、次式を満たすこと。

    Σ2.5Aw+Σ0.7Ac+Σ0.7Aw' ≧ ZWAiβ (RC造)
    Σ2.5Aw+Σ1.0Ac+Σ0.7Aw' ≧ ZWAiβ (SRC造)

Aw: その階における耐震壁の断面積(計算する方向別) [cm2
Ac: その階における柱の断面積 [cm2
Aw': その階における耐震壁以外の壁の断面積(計算する方向別) [cm2
Z: 地域係数
W: その階にかかる建築物の重量 [N]
Ai: 地震層せん断力係数Ciの高さ方向の分布係数
 
β: コンクリートの設計基準強度による低減係数
Fc<18 β=1.0
18≦Fc≦36
Fc<36 β=0.71
  Fc: コンクリート設計基準強度

 RC・SRC造の場合、柱・壁量を上記の式に当てはめて、各階のX・Y方向ごとに
計算して確認しなければなりません。結局のところ、この後解説する計算ルート2-1
の条件と同じような計算をすることになります。ルート1のこの式は、ルート2-1の式
よりも条件が厳しいので、この厳しい条件をクリアできたら、層間変形角・剛性率・
偏心率の計算は免除してあげよう、と言っているのです。
 SRC造の場合、柱の中に鉄骨が入っているので、柱の係数を大きく取ることがで
きます。ただ、ルート1の規模で収まるような建築物は、そもそもSRC造にするメリッ
トが少ないとも言えます。


 S造
 【1】 3階以下(地階を除く)
 【2】 高さ13m以下 かつ 軒高9m以下
 【3】 延べ面積500m2以内
 【4】 柱間隔6m以下
 【5】 標準せん断力係数C0を0.3以上として計算すること
 【6】 筋かいの端部・接合部が破断しないことを確認

 S造の場合、RC造と比べて階数や面積、柱のスパンなどの規定があります。
3階以下・13m以下ですので、高さ方向の制限は厳しいと言えます。
 (5)の標準せん断力係数C0を0.3以上というのは、地震力を求める際に、
   Ci=Z・Rt・Ai・C0
 という式を使用します。このとき、通常の計算はC0=0.2として求めるのですが、
それを1.5倍にして、C0=0.3として地震力を算出することを義務づけているのです。
 (6)の筋かいの計算は、筋かいの部材(軸部)が降伏するよりも先に、端部・接合
部が破断しないことを確認するということです。
 「ブレースの1本1本を計算しなければならないのか」ということになりますが、
実際には「この部材に対してはこの接合」という標準的な形が決まっていて、比較的
単純な計算だけで接合部の設計ができるようになっています。

 その他の構造(木造・組積造と、それらの併用構造)にも、表で示したような
規定があり、それらをクリアすることが計算ルート1を選択する条件となります。


ルート2

 計算ルート1の条件をクリアできない31m以下の建築物は、ルート2を選択する
ことになります。

 RC・SRC造
 RC系の場合は、【1】〜【3】の計算と、【4】のうちの1〜3のどれか1つを選択して計算
することになります。

【1】 層間変形角 r≦1/200
【2】 剛性率 Rs≧0.6
【3】 偏心率 Re≦0.15
【4】
(1) Σ2.5Aw+Σ0.7Ac+Σ0.7Aw' ≧ 0.75ZWAiβ
Σ2.5Aw+Σ1.0Ac+Σ0.7Aw' ≧ 0.75ZWAiβ
(RC造)
(SRC造)
(2) Σ1.8Aw+Σ1.8Ac ≧ ZWAiβ
Σ2.0Aw+Σ2.0Ac ≧ ZWAiβ
(RC造)
(SRC造)
(3) 材端に生じるモーメントが終局モーメントに達した
ときに、柱梁がせん断破壊しないことを確認
※ 式の記号は、ルート1のものと同様です。


【4】1〜3は、建築物の柱壁の量によって、様々な条件を想定した式となっていて、
一般的は、
(1) 耐震壁の多い建物に有利
(2) 柱が多い(大きい) → 柱1本が受け持つ面積が小さいものが有利
(3) 総合的なラーメン構造のバランスを重視し、袖壁等が少なく、せん断破壊しそう
な短柱などが無い建物に有利

といえます。この(1)〜(3)のどれを選んだかによって、RC系の場合は
ルート2−1・ルート2−2・ルート2−3 と、さらに3つに細分化されます。


 S造
 S造は、RC系の場合と比べて【1】〜【3】までは同じです。【4】で鉄骨造の特徴的
な部分についての検討が盛り込まれています。【1】〜【3】と【4】の(1)〜(3)のすべ
てをクリアしなければなりません。

【1】 層間変形角 r≦1/200
【2】 剛性率 Rs≧0.6
【3】 偏心率 Re≦0.15
【4】
(1) ブレースの負担割合による応力の割増し
β≦5/7
β>5/7
  1+0.7β
 1.5
β: 地震力により各階に生じる水平力
に対する、ブレースが負担する割合
(RC系のβとは関係ありません)
(2) ブレースの端部・接合部が破断しないこと
を確認(第一種保有耐力接合であること)
(3) 柱梁の部材とその接合部に、局部座屈や
破断が生じないことを確認
 → 幅厚比・横補剛・柱脚・仕口の検討

 層間変形角・剛性率・偏心率等のほかに、ブレースによる割増や、保有耐力接合等の
確認が必要となります。
 その階の構造が、柱梁接合部のモーメント負担に期待せず、ブレースで持たせるブレース
構造の場合、βは1.0となりますので、応力を1.5倍にして計算しなければなりません。
 (3)では横補剛の検討をしますが、1次設計でも、座屈の許容応力度を検討する同じよう
なものがあります。両者は意味合いが異なるため、それぞれ検討する必要があります。

 2次計算の合否の判断について(RC系・S造共通)
層間変形角は、原則的には r≦1/200 ですが、変形に追従できるような外壁等の処置
が施されている場合は、若干条件を緩くすることが可能で、最大で1/120 にまで緩和す
ることができます。ただし条件の緩和を利用してでも、層間変形角は必ずクリアしなければ
なりません。
一方で、剛性率と偏心率はそれぞれ条件が固定されてますが、その条件を満たすことが
できなくても、形状係数の割増を経て保有水平耐力計算を行うという方法を選択すること
ができます。
壁量等の計算(RC)やブレースによる応力の割増(S)など、地震に対する計算基準も、
クリアできなかった場合は保有水平耐力計算に移行するという選択ができます。





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